ジャンガリアンハムスターの頬袋脱出(その2)
こんにちは 院長の伊藤です。
蒸し暑い日が続いてますが、これから熱中症のペットが来院する時期となります。
ペットの飼育環境を改めて見直し、高温多湿な環境を改善して頂くことで熱中症対策して下さい。
さて、本日ご紹介しますのはハムスターの頬袋脱出(頬袋脱)です。
以前にも、この頬袋脱をご紹介させて頂きました。
興味のある方はこちらをクリックして下さい。
ジャンガリアンハムスターのおもちちゃん(約1歳、雌)は頬袋が飛び出して戻らなくなったので来院されました。
下写真の黄色丸は脱出した頬袋を示します。
頬袋は食べた物を一時的に溜めこんでおく袋です。
順次、食べた物を頬袋から口腔内に出して咀嚼・嚥下します。
頬袋に入れた食物の量が多かったりすると、靴下を裏返すように頬袋の内面が口腔外へ脱出します。
この状態を頬袋脱と呼びます。
頬袋脱は脱出したばかりであれば、綿棒などを利用して元に戻すことが可能です。
脱出して数時間以上経過しますとハムスター自身が頬袋を気にして齧ったり、あるいは頬袋が血行障害を来して浮腫を招きます。
こうなってくると食欲が無くなり、自傷で受傷した部位から細菌感染を受けて治療が必要となります。
おもちちゃんの場合は、頬袋を整復処置をしても再脱出しました。
脱出してからの経過時間から、頬袋を切除することとしました。
全身麻酔を施します。
下写真のアングルから見ますと頬袋脱が良く分かると思います。
麻酔導入が完了しました。
自家製マスクで維持麻酔をします。
モノポーラ(電気メス)で患部を切除しますので、アースとしての電極板をおもちちゃんの体の下に敷きます。
脱出した頬袋を鉗子で牽引します。
モノポーラで慎重に頬袋を切除します。
特に大きな出血もありません。
脱出した頬袋を離断しました。
患部は浮腫を呈しており、切除部には漏出液が貯留しています。
鉗子で切除後の頬袋を口腔内に押し戻します(黄色矢印方向)。
整復後の右側口周りは、若干の腫脹が認められます。
切除した頬袋です。
麻酔から半覚醒したおもちちゃんです。
頬袋を切除した後、頬袋は再生します。
特に切除部を縫合しなくでも癒合するため、おもちちゃんはこの状態で経過観察します。
暫くは抗生剤や鎮痛剤の内服をして頂きます。
その後の経過は良好です。
おもちちゃん、お疲れ様でした!
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