獣医師文人(伊藤)の小話 -飼い鳥のダイエット編-
皆さんこんにちは。最近ははっきりしない天気が続き、部屋干ししかできない日が続きますね。
今回は、発情抑制の話のときに少し触れさせてもらった飼い鳥のダイエットのお話をさせて頂きたいと思います。
また、体重の増加によって引き起こされた症例とそのダイエットと合わせた治療の過程も合わせて紹介したいと思います。
ダイエットの前に
全身を触ってまずは本当に肥満かどうかを確認しましょう!
鳥の肥満は胸筋の筋肉の付き方によって判断します。
少し見えずらいですが、この画像でより分けた羽毛の真ん中に見える縦の直線が竜骨です
模式図を用意すると次のようになります
左から、肥満、正常、削痩のときの胸筋のつき方です。
削痩して、はっきり竜骨が触れるときは何らかの病気である可能性が高いためすぐに病院に連れて行くことを勧めます。
また保定に慣れることで診察の際のストレスを軽減できるため、普段から胸部を触診してあげて下さい。
実際にダイエットをする
1gから計れるキッチンスケールを用意してください。
まずは鳥が何グラムの量の餌を毎日食べるか測定します。
朝計量した餌を用意し、翌日に重量を測定し、減ったグラムがその鳥の一日の摂取量です。
これを1週間ほど繰り返して平均の摂取量を出します。
次にその摂取量の8.9割程度の量を朝昼夜と2.3回に分けて与えるようにします。
毎朝体重を量りながら目標体重に近づけていきます。
ダイエット中の注意
絶食便(緑色便)が出ていないかどうか。
出ているなら空腹の時間が長すぎる可能性があります。
一日のトータルの餌の量を変えずに回数を増やしましょう。
また膨らんでいる、元気がなくなっている場合は一旦ダイエットは中止しましょう。
他にも換羽のタイミングと重なると体調を崩すこともありますので要注意です。
肥満による足底潰瘍(バンブルフット)の一例
オカメインコのぴよちゃん(仮名)3歳 性別不明 体重119g
最近足を痛そうにする、止まり木の止まり方が変とのことで来院しました
止まり木が細いのか普通より足根関節側に過重しているような印象を受けます
足の裏 典型的なバンブルフットになっています
この子の食べていたエサは、種子食メインでヒマワリの種も常食していました。
中型インコ向けのミックスシードは多くの場合ヒマワリの種も含まれており、えり好みして食べる子は肥満であることが多いです。
この子の体重は119グラムと平均的なオカメインコの体重が100グラム前後と考えるとけっこう重いです。
前述した胸筋での評価では間違いなく肥満です。
まずはヒマワリの種を含まないシードに変更するダイエット、止まり木の太さの調節による飼育環境の改善と
消炎鎮痛剤、抗生剤などを含む薬水の自由飲水で治療を開始しました。
10日後の足の裏です
少し痂皮(かさぶた)の縮小が見られます。
ヒマワリの種など、食餌内容を見直してもらいました
止まり木も太さを調節し、しっかり握れているそうです
体重も99グラムと、ダイエットのペースとしては少し早すぎる気もしますが、順調に体重を減らせています。
さらに10日後です
かなり痂皮の範囲も小さくなってきました。
体重も101グラムとしっかり目標体重を維持できています。
さらに11日後です
すっかり足の裏の痂皮も見られなくなりました
ここでひとまずは治療終了としました。
体重も104グラムと維持できています。
その後もたまに爪切りに来院されますが、バンブルフットの再発もなく
体型もしっかり維持できていて順調です。
今回は積極的な飼主様の協力もあり、かなり順調に治療を行うことができました。
食餌の内容や止まり木の太さなど、飼育環境の重要性を認識するケースでした。
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