HPをご覧のみなさまへ
現在、全国から電話でのお問い合わせがありますが、
電話での診療相談・オンライン治療は行っておりません。
ご理解とご了承をお願いいたします。
(よくある質問は当院ホームページ「Q&A」をご覧ください。)
分類
哺乳類 Mammalia- 双前歯目 Diprotodontia- フクロモモンガ科 Petauridae- フクロモモンガ属 Petaurus に属する有袋類です。
野生ではオーストラリア北部から南東部、ニューギニア島、ビスマルク諸島、モルッカ諸島といった温暖な森林や亜熱帯雨林に生息しています。
特徴・生態
大きな目と耳、長い尻尾が特徴で近年人気のペットです。
伸縮性の皮膚襞である飛膜をもっており、樹木間を滑空するのに使用され、尻尾で舵をとります。
群れで過ごすため「匂いつけ」や「鳴き声」で仲間同士のコミニュケーションをとります。
縄張り意識が強く警戒心も強いため、時には激しく警告音を鳴らすこともあります。
フクロモモンガは本来「夜行性の動物」です。
また雨天、気温が低い夜は活発に行動せず「休眠」状態になることがあります。(平均13時間程度)
食性は昆虫食傾向の強い雑食性です。
繁殖特性
性成熟は、オス 8~12か月、メス 12~14か月。
野生下では季節繁殖動物ですが、飼育下では年中繁殖が可能で、年2回繁殖ができると言われています。
有袋類のため、出産後は子どもは育仔嚢で育てられます。
50~75日間育仔嚢内で育った後は、次第に育仔嚢から出てくる時間が増えていきます。
※望まない妊娠や発情ストレスによる自傷行為の防止のために当院では去勢手術が可能です。
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生理学的特徴
平均体重 | オス 115~160g メス 95~135g |
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体温 | 36.3℃(直腸温) |
発情周期 | 年中(飼育下) |
食餌消費量 | 体重の約15~20% |
健康管理
ご家庭で行う健康管理
☑体重管理・食欲のチェックしましょう
健康を守るためにも食べさせてはいけない食品や作物を把握し与えましょう。
フードはバランスのとれたフードを用意し、与える量を管理して日頃から食欲があるか偏食になってないかチェックをしましょう。
☑排便・排尿のチェックをしましょう
便・尿の回数や形や色などを把握することで、日々の健康チェックができます。
☑コミュニケーションをとりましょう
日頃からコミニケションをとることで人に慣れ、ストレスのない環境が健康維持にもつながります。
また、コミュニケーションをとる事で定期的に健康状態をチェックしたり、病気やケガをしたときに処置や薬を服用しやすくなります。
☑運動や遊びをさせましょう
運動ができるスペースを用意することで肥満防止になり、ストレスのない体を維持する事ができます。
※爪の過長によりケガの恐れがある場合は、爪きりをしましょう
☑動物病院で健康診断を行いましょう
病院での健康診断を行い健康状態を知ることで、普段の健康管理につなげていきましょう。
平均寿命
フクロモモンガの平均寿命 | |
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平均5~7年 | (飼育下では平均12~15年位) |
飼育環境
フクロモモンガは夜行性です。
一日中明るい場所、暗い場所はさけます。
フクロモモンガは人には聞こえない高周波も感知できるので、大きな振動や騒音がなく電子機器や家電機器の近くはさけます。
寒暖を苦手としているため、24~27℃程度の温度環境にし、冬場は乾燥しないように湿度45~55%程度を目安に調節します。
飼育ケージ
ベビーの場合の飼育ケージは、プラスチックケース(昆虫・魚用のケース)が良いです。
大きさは30×30×40cmほどのケースに、床面の外側にパネルヒーターなど保温ヒーターを敷いて、その上に隠れ家を置いて保温をします。
幼少期~大人の場合の飼育ケージは、脱走しないように網目の細かい高さのある鳥用ケージを使うのが一般的です。
元々高い木に住んでいるため、1辺が40cm以上、高さが60cm以上あるものが理想です。
ケージ内に必要なもの
床材
トイレのしつけができないので、新聞紙、牧草、ペーパーチップをひいて尿を染み込ませると掃除がしやすいです。
エサ入れ、水入れ
樹液を飲む長い舌があるため、給水ボトルを用意してください。
(給水ボトルで上手に飲めない子もいるので、水の飲みが悪い時は陶器の水入れにします。)
食器は不安定だとすぐにひっくり返されてしまうため、重い素材の器を用意します。
トイレ
トイレのしつけはできません。
ケージの外に向かってする場合もあるので、壁や物などは事前に養生などしておきます。
巣箱
木箱、ヤシの実、牧草で編んだ巣箱、ハンモック、ポーチなどがあります。
※布4製や綿があるのもは、糸が爪や足に絡まないように、余分なところは除去します。
かじり木
ストレスを少なくするためにケージ内に止り木や木製のコテージ、ぶら下げるおもちゃ(鳥用)などを設置します。
安全な木製の用品を使用します。
その他
温度対策としては、冬場は「ペットヒーター」、夏場は「冷却ボード」など準備すると良いです。
フード(エサ)
フクロモモンガは、野生化では下顎切歯(前歯)を使って木の皮を剥き樹脂・樹液を舐めたり、前足の指で木の割れ目などに潜んでいる虫を掻き出して食べたり、長い舌で花の蜜を舐めたりします。
そのため、飼育下では果物・野菜などの植物質と、昆虫などの動物質のエサをバランスよく体重の15~20%程度を与えます。
フクロモモンガは食べ物の選り好みが強い動物です。
1種類のエサをたくさん与えるより、少量ずつ色々な種類を与える事が必要です。
最近では、専用の「フクロモモンガフード」が販売されています。
植物性たんぱく質の供給として「ローリーネクター」を利用する方法もあります。
偏食する場合は、カルシウムやビタミンD、アミノ酸が含まれたサプリを添加します。
植物質
ローリーネクター、食用エディブルフラワー、乾燥豆腐。
サツマイモ、カボチャ、ニンジン、カリフラワー、ブロッコリー、グリンピース、枝豆などの野菜や
リンゴ、バナナ、イチゴ、キウイ、ブドウ(種無し)、オレンジ(酸味が少ない)、マンゴー、スイカ、などの果物。
(小動物用に販売されているものでも可能です可能です。)
※水分の多い物は下痢や軟便になりやすいので注意します。
動物質
ミルワーム、コオロギ、ピンクマウス、煮干し、ゆで卵の黄身、無塩チーズ(小動物用が望ましい)、乳糖が少ない無糖ヨーグルト、フクロモモンガ用ペレット、加熱した鳥肉(赤身肉)など。
※メープルシロップは蜂蜜に比べてミネラル成分などがより豊富に含まれているので、好まないエサにかけて与える方法もあります。
※ひまわりの種、ナッツ類、カボチャの種などの種子類は、栄養の偏りや消化不良する場合もあるので「おやつ」として与える程度にします。
よくある疾病・治療例
健康管理及び・治療の紹介
当院では、フクロモモンガの健康診断として、
・爪の過長のチェックとして「視診」
・寄生虫を確認するための「検便」
を主に行っています。
当院で治療件数が多い症状・疾患は、
・爪過長症
・寄生虫(コクシジウム・ジアルジア)
・自傷行為による創傷
です。
※詳しくは「症例と治療例の一覧」をご覧ください。