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(よくある質問は当院ホームページ「Q&A」をご覧ください。)
分類
プレーリードッグは、ネズミ目 Rodentia、リス科 Sciuridae、プレーリードッグ属 Cynomys の動物の総称で 5種類が知られています。
日本で飼育されているほとんどが「オグロプレーリードッグ」です。
野生のオグロプレーリードッグはアメリカ合衆国中央部に棲息し冬眠はしません。
一時期はペットとして大量に輸入されていましたが、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の「第54条」によって、感染症の侵入防止のため2003年から輸入禁止動物に指定されています。
(人獣共通感染症であるペストや野兎病などを媒介するおそれがある為)
その為、国内繁殖のみ流通しているので、現在は販売個体も少なく飼育している人も少ないです。
プレリードッグに代わって近年人気がでてきたのがジリスです。
ジリスはネズミ目 Rodentia、リス科 Sciuridae、ジリス属 Cynomys の動物の総称で数十種類存在します。
日本で飼育されているほとんどが「リチャードソンジリス」です。
他には、ジュウサンセンジリス、ホシジリス、コロンビアジリス、ダウリアハタリスがいます。
野生のリチャードソンジリスは、カナダとアメリカ大陸北部にまたがる広い地域に棲息しています。
特徴・生態
プレリードッグの体長はジリスより大きいです。
雄は平均36~42cm、雌は平均35~38cmです。
体重は、成体になると通常雌よりも雄の方が大きく季節によって体重が大きく変動します。
歯は、切歯が上下2本ずつあり、生涯伸びる常生歯です。臼歯は18本あり、全ての歯を合わせると22本あります。
昼行性で、野生化では複数の家族が集まり、コテリーと呼ばれる集団で暮らしています。トンネルを掘り巣穴で生活しています。
耳は地面にトンネルを掘る際に土が入らないよう小さいですが、聴覚は優れています。また、土を掘るために爪は長く鋭いです。
野生化では集団で暮らしている為、さまざまな鳴き声でコミュニケーションを取ったり、尾でさまざまな動きをして感情表現したりします。特に警告の鳴き声は「キャンキャン」と犬のように大きな声で鳴きます。
ジリスはプレーリードッグの半分位のサイズです。雄は平均28~34cm、雌は平均26~32cmです。
プレーリードッグと違いリチャードソンジリスは冬眠します。
冬眠前は脂肪を蓄え、冬眠から目覚める頃には体脂肪が20~40%減少します。
切歯は上下2本ずつあり、生涯伸びる常生歯です。臼歯は18本あり、全ての歯を合わせると22本あります。
ジリスは頬袋があり、一時的に食物を貯めこむことができます。(プレーリードッグは頬袋を持ちません)
昼行性で、野生化では雌は近親のメス同士で社会性を持ち、オスは単独生活します。
耳は地面にトンネルを掘る際に土が入らないよう小さいですが、聴覚は優れています。また、土を掘るために爪は長く鋭いです。
ジリスもさまざまな鳴き声でコミュニケーションを取ったり警戒音を出します。プレリードッグのように尾もふりますが、警戒を示しています。
繁殖特性
プレリードッグは季節繁殖動物で性成熟は1~3歳に訪れます。
繁殖時期は1~4月の期間中、2~3週間繁殖シーズンを迎えます。妊娠期間は平均33~38日で、1~6匹程度出産します。
出産が近づくと巣箱に牧草を運んで、巣を作り始めます(営巣)
ジリスは季節繁殖動物で性成熟は1歳(平均11カ月)までには訪れます。
繁殖時期は3~5月の期間中、2~3週間繁殖シーズンを迎えます。妊娠期間は平均23~31日で、6~8匹程度出産します。
出産が近づくと巣箱に牧草を運んで、巣を作り始めます(営巣)
雌は繁殖シーズン中に一晩だけ交配しますが、発情期間は冬眠から目覚めて2~3時間内しかないため、繁殖は非常に難しいです。
生理学的特徴
プレリードッグ (オグロプレーリードッグ) |
|
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平均体重 | 雄:850~1675g 雌:705~1050g |
体温 | 35.3~39℃(直腸温) |
発情周期 | 季節性 |
食餌消費量(ペレット) | 体重の10~15%程度 |
ジリス (リチャードソンジリス) |
|
平均体重 | 雄:440~745g 雌:330~590g |
体温 | 36.1~37.2℃(直腸温) |
発情周期 | 季節性 |
食餌消費量(ペレット) | 体重の10~15%程度 |
健康管理
ご家庭で行う健康管理
☑体重管理・食欲のチェックしましょう
健康を守るためにも食べさせてはいけない食品や作物を把握し与えましょう。
フード(牧草・ペレット)は与える量を管理して、日頃から食欲があるか、偏食になってないかチェックをしましょう。
☑排便・排尿のチェックをしましょう
便・尿の回数や形や色などを把握することで、日々の健康チェックができます。
☑コミュニケーションをとりましょう
日頃からコミニケションをとることで人に慣れ、ストレスのない環境が健康維持にもつながります。
※過度なふれあいや環境の変化にはストレスになる場合もあります。
☑運動や遊びをさせましょう
運動ができるスペースを用意することで肥満防止になり、ストレスのない体を維持する事ができます。
☑動物病院で健康診断を行いましょう
病院での健康診断を行い健康状態を知ることで、普段の健康管理につなげていきましょう。
平均寿命
ジリス・プレリードッグの平均寿命 | |
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プレリードッグ(オグロプレーリードッグ) | |
平均8~10年 | (野生下では平均3~5年位) |
ジリス(リチャードソンジリス) | |
平均10~12年 | (野生下では雄:3年、雌:6年位) |
飼育環境
プレリードッグもジリスも好適温度は18~26℃です。
20℃以下の環境ではリチャードソンジリスは「冬眠」してしまうので注意が必要です。
2匹とも物を齧るので、部屋の中で自由にさせる時は齧らないようにカバーや片付けたりし、長い爪で掘る行動をするのでカーペットなどで爪がひかからないようにしてあげる必要があります。
飼育ケージ
できるだけケージは広く、立ち上がった時に天井をぶつけない高さののある物を用意してください。
金網タイプかアクリル製タイプを使用します。
金網タイプは、コスパが良く通気性の良さがメリットですが、金網部分を齧り、切歯の不正咬合や歯折・歯牙腫の発生のおそれがあることが欠点です。
アクリル製タイプは、床敷に深く牧草を敷き詰められるため掘る欲求を満たすことができます。保温性も高くなるので冬眠防止にもなり、齧る金属がない為不正咬合防止にもなります。
しかしパネルで覆われている為、臭いや汚れが目立ちやすくなり、湿度が高くなりやすいのでこまめな清掃や温度管理が必要です。
ケージ内に必要なもの
床材
木製や紙製のチップ、牧草(主食にするチモシー)やなどが適しています。
木製チップは材質によってアレルギー様の症状をみせる場合があるため、使用する場合には注意が必要です。
エサ入れ、水入れ、牧草入れ
食器は不安定だとすぐにひっくり返されてしまうため、陶器製など重い素材の器を用意します。
水入れは給水ボトルを使用した方がケージ内が濡れなくて衛生的です。
トイレ
トイレの場所をしつけるのは難しいです、いつも排泄している場所にトイレを設置すると良いです。
個体によって使用しやすいものが良いですが、ウサギ用のものを代用することが多いです。
かじり木
ストレスを少なくするためにケージ内にかじり木を入れます。
巣箱
木箱や小屋(巣箱)などを設置すると良いです。
壊されるのを避けたい場合は、プラスチック製や陶器製のほうがよいですが、ストレス解消の為に齧りやすい木製でもよいです。
また、寝床を用意し寝る動物です。寝床となるもの「綿」「タオル」など爪にひかからない素材を用意します。
その他
おもちゃはかじり木のほか、運動不足対策として回しぐるまやはしご、ハンモックなどを入れても良いです。その際は、鋭い爪がひかからない物を選びます。
フード(エサ)
野生では、80~100%が植物質ですが、昆虫や種子、麦なども食べると言われています。
自然下では、活動している期間は、繁殖成長のために脂肪蓄積に費やします。
飼育下での適切な食餌内容について、十分な研究がされていない現状がありますが、飼育下では冬眠も繁殖もないため、脂肪を蓄積させる必要はありません。
そのため、野生のジリスと同じ食事内容ですと、肥満につながります。
これを回避するために、ウサギやモルモットなどと同様に完全草食型の給餌が適切と考えます。
つまり、牧草(チモシー)を中心に適量のペレットと野菜を与える給餌法が良いです。
ペレットはプレーリードッグ用や、ウサギ用を利用できます。
(ジリス用のペレットも販売されています)
体重過多になるようでしたら、ペレットの量を調節します。
チモシー
主食はチモシー(イネ科の牧草)を与えます。
野生化では、80~100%が植物質で、昆虫や種子、麦なども食べると言われていますが、
繁殖期・成長期は脂肪蓄積に費やすため、チモシー以外をメインにすると肥満につながります。
ペレット
牧草のみでは栄養バランスがとりにくいので、ウサギ用のペレットで代用でも可能ですが、近年では専用フードが発売されています。
野菜
必須ではありませんが、変化や栄養価の高い素材を与えてもよいです。(キャベツ、ニンジンなど)
カルシュウムが多く含まれる大根の葉やホウレン草などは尿石症になりやすいので控えます。
※野草は中毒をおこすものが多いのでむやみに与えてはいけません。
果物
与えすぎると果物の糖分で肥満になりやすいので、ご褒美としてたまに渡すのは良いです。
(リンゴ、いちご、なし、バナナ、など)
よくある疾病・治療例
健康管理及び・治療の紹介
当院では、ジリスの健康診断として、
・不正咬合を確認するための「歯の検診」
・全身状態を確認するための「視診」
を主に行っています。
当院で治療件数が多い症状・疾患は、
・切歯過長症
・副鼻腔炎
・オドントーマ
・真菌性皮膚炎
・皮膚糸状菌症
・皮膚腫瘍
です。
※詳しくは「症例と治療例の一覧」をご覧ください。