アルダブラゾウガメとジアルジア感染症
アルダブラゾウガメのクロちゃんが下痢が続くとのことで来院されました。
このアルダブラゾウガメ、舌を噛みそうな名前ですが、セーシェル諸島(アルダブラ岩礁)に分布するゾウガメです。
世界最大とされるガラパゴスリクガメに次いで、巨大となるリクガメです。
海岸沿いにある草原や内陸部の低木林、マングローブからなる湿原に生息しています。
アルダブラゾウガメは食用や剥製、ペット目的の乱獲で20世紀初頭にアルダブラ諸島を除いて絶滅したゾウガメです。
その後,セーシェルではこのゾウガメは保護の対象とされて、生息地のアルダブラ岩礁は世界遺産に登録され、許可なく上陸できなくなっています。
クロちゃんは、このような希少価値のあるゾウガメです。
下痢ということで早速、検便をしました。
顕微鏡下(高倍率)ではジアルジアという原虫が多数回遊しています。
黄色の丸で示した所がジアルジア原虫です。
あまりに動きが素早く、写真がクリアに撮れませんでした。
これら原虫は泌尿器に寄生して腎障害や肝障害をもたらします。
飲水量が増加してアンモニア臭のきつい尿をします。
幼体であれば嗜眠、成長障害がみられます。
ジアルジアはメトロニダゾールが良く効きますが、2週間かけてもまだ完全に落とし切れてません。
同じ飼い主様がギリシアリクガメを飼育していまして、このギリシアリクガメも同程度のジアルジアが検出されたのですが、1週間の投薬で完治しました。
同じリクガメでも薬剤の感受性は異なるようです。
現在、倍量で治療中です。