モルモットの断脚手術
断脚手術というとどうしても暗いイメージがつきまといます。
治療によって、本来の脚の機能が戻らないと判断された時に決断される手術です。
悪性腫瘍や複雑骨折の場合などに断脚を選択しなければならないことが多いです。
今回ご紹介するのは、脛骨骨折をして2週間以上そのままでいたために、皮膚を骨折端が破って露出してしまったモルちゃんです。
突き破って出てきた骨折端が、床面と接触して脛骨が骨髄炎を起こしていました。
上写真の黄色丸と下写真の黄色矢印」が皮膚から飛び出している脛骨骨折端です。
レントゲン写真を下に載せます。
骨折部は斜骨折といって、骨が斜めに割れて折れた状態です。
ちょうど竹槍の先端のような形状です。
これでは簡単に皮膚を骨折端が穿孔してしまいますね。
加えて残念なことに脛骨近位端(膝の下)まで骨髄炎を伴っていました。
病変部が膝関節より遠位であることから、大腿骨骨幹部の離断手術を実施することとしました。
早速、全身麻酔を施し断脚手術を行います。
皮膚を切開して大腿動静脈を露出し、それぞれの血管を結紮しメスで離断します。
次に大腿内面の筋肉を離団して、大腿骨を露出し電動鋸でカットします。
大腿骨をカットした後は、大腿骨骨端を包み込むような形で残った筋肉を縫い合わせて切断端を保護します。
術後の様子では非常に痛々しい感がありましたが、覚醒後はしっかり3本脚で移動していました。
抗生剤の投与と疼痛管理を行い、術後3日で無事退院の運びとなりました。
下は退院時のモルちゃんの元気な写真です。