今ではすっかり来院数の減ったプレーリードッグですが、10年ほど前の当院では2,3日に1回の割合で切歯過長の歯切りを実施していました。

なぜプレーリードッグが減ってきたのかというと,検疫の問題で海外からの輸入が禁止になったこと。

それに加えて、歯芽腫(オドントーマ)がプレーリードッグに多発する点も関係していると思います。

硬いものを常時咬む習性のあるプレーリードッグは、切歯の歯根部が球状に石灰化を起こします。

この病態をもってオドントーマと言います。

この根尖部の球状石灰化が進行すると、鼻腔狭窄・鼻汁・眼球突出になり鼻呼吸ができなくなり開口呼吸を呈する個体もいます。

呼吸不全から心臓肥大になる個体や消化器の鼓張症に至るケースもあります。

あるいは呼吸不全から鼻炎、気管支炎、肺炎に至るケースもあります。

当院で治療を受け、最終的に亡くなられたプレーリードッグは、ほとんどがオドントーマによるものです。

このオドントーマの予防には、定期的な切歯の調整が重要です。

本日、ご紹介するプレーリー君は歯切りに来院されました。

このプレーリー君、実に動きが俊敏で助手が抑え込むのに苦労しています。

写真を撮ろうにもフォーカスを合わせるのに苦労します。

何とか保定して、口の中を診てみました。

下写真の黄色印にあるように、下顎切歯がVの字に伸びすぎているのが分かります。

早速、専用ニッパーでカットします。

7~8年前はマイクロエンジンで切歯のカットをしたりしましたが、問題なのはプレーリーは元気な子が多く、高速回転する円刃で口を切ってしまいそうになること度々で止めました。

それ以降は、マニュアルの専用ニッパーでカットしています。

カットした切歯の断面を金ヤスリで研磨していきます。

研磨する時も気をつけないと思いっきり、ヤスリを咬みますので切歯が欠けてしまう事もあります。

いずれにせよ、ハムスターやシマリスとはパワーが違う齧歯類ですので、スタッフ共々俊敏性と処置の正確さが要求されます。

これでまた、硬いものがしっかり齧ることが出来るようになったプレーリー君でした。

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