ウーパールーパーの疾病の中で、浮遊病に次いで多いのが腹水症です。

これは、体腔内に水が貯留する疾病です。

浮遊病は消化管内に溜まったガスが体に浮力をつけて、水面にまで浮かんでしまいます。

一方、腹水症は水が溜まることで水槽の水底にうずくまる姿勢をとります(貯留する腹水量によります)。

今回ご紹介しますウーパー君は、この2週間くらいの間に少しづつお腹が膨らんできたとのことで来院されました。

下写真にあるようにかなり腹囲が膨満しています。

触診をした感じでは、腹腔内にガスが溜まるというよりは液体の貯留している波動感があります。

腹腔内に溜まっているものが何かを確認するため、レントゲン撮影を実施しました。

上写真のレントゲン像で黄色丸で表した個所、といってもほとんどの体腔内に白く描出された腹水が確認されます。

腹水症と診断はできましたが、この腹水症の原因は種々あります。

細菌やウィルス感染・心疾患・肝疾患・腎疾患・体腔内の腫瘍等です。

犬猫といった哺乳類であれば、さらに各種検査で原因究明は可能ですが、両生類は詳細の確認ができません。

対症療法に終始せざる得ないわけですが、まずは腹水の性状を調べることとしました。

慎重に腹腔内に針を入れて、腹水を吸引していきます。

吸引した腹水は比重が1.003という低比重で、ほとんど水に近いものです。

貯留している腹水を全部抜去することは、かなり危険でショック状態に陥る場合もあります。

今回は腹水検査のための吸引に留めます。

あとは、試験的に内服薬を投与して腹水を減少させていく予定です。

両生類用リンゲル液に個体ごと浸漬して、浸透圧を利用して腹水を抜いていく方法もあります。

いずれにせよ、ウーパー君に負担をかけないように、かつ速やかに腹水を抜去する方法を展開します。

経過は追って報告させて頂きます。


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