フェレットの皮膚腫瘍は一般的によく認められます。

加齢とともに皮膚腫瘍の発生率は増えます。

フェレットの皮膚腫瘍は良性であることが多いとされます。

本日ご紹介するのは、フェレットのラスクちゃん(♀、6歳)です。

頚背部に腫瘤が出来ての来院です。

下写真の黄色丸の部分に腫瘤があります。

表面の中心部が陥没している腫瘤です。

ジワジワと一月ぐらいの間に大きくなったそうです。

早速、細胞診を実施しました。

腫瘍の悪性度を比較する上で、N/C比という表現が使われます。

N/C比は核の面積を細胞質の面積で割った比のことです。

核はその細胞の増殖活性を表します。

細胞質はその細胞の機能の場を表します。

N/C比は、成熟した細胞ではほぼ一定値を示します。

一方、核の増殖が活発でその量は増えてるけど、細胞質の量が減少する場合は、細胞の発達(細胞の分化)が不十分であることを指します。

その場合、N/C比は高い値を出します。

悪性腫瘍は、核はどんどん増殖するけど、それに見合った細胞質が作られないため、N/C比は高くなるわけです。

一般に、N/C比が高いほど悪性度(異型度)が高いとされるのは、この理由からです。

今回の細胞診の結果は、このN/C比の高い細胞からなる集塊が多く認められ、皮脂腺細胞や脂腺上皮腫への分化を伴う基底細胞腫と検査センターからの診断でした。

一般にフェレットの基底細胞腫は4歳以上にもっともよく見られるとされています。

フェレットの場合、この基底細胞腫は良性腫瘍です。

腫瘍としては、徐々に大きくなり、可動性があっても皮下組織にまでは進行はしないとされます。

切除も比較的容易にでき、術後の経過は良好です。

ラスクちゃんの年齢もあり、飼い主様が外科的切除は希望されませんでしたので、このまま経過を見ていくこととしました。

この腫瘍が急激に大きくなることがあれば、切除をお考え下さいね。

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