カエルの浮腫症候群
本日、ご紹介しますのはカエルの浮腫症候群です。
浮腫とは組織に水分が貯留してしまう状態を言います。
浮腫症候群とは、皮下や体腔内に水(体液)が貯留してしまう病気の総称です。
俗にカエルの風船病として知られている病気です。
罹患後の経過は厳しい疾病で、数日で死亡してしまう場合もあります。
アマガエルのかんた君は数日の内に体全体が腫れだして来院されました。
黄色の丸で表した部分が明らかに体液が溜まって腫れ上がっています。
下顎に多量の体液が溜まっています。
最初に腹部が腫れてきて、少し太ったかと思いがちですが、短時間の内に体内の電解質のバランスが崩れ不自然に体が腫れてきて最終的に死亡することも多い病気です。
進行に伴い、餌を食べることも上手くできなくなります。
特に下顎の圧迫が著しいため、注射針で穿刺して体液を吸引しました。
上の写真にあるように思いのほか多量の体液が吸引されました。
体液吸引後は多少下顎周りがすっきりした、かんた君です。
この浮腫症候群の治療は、原因を追及して治療する必要があります。
細菌感染、代謝性骨疾患、卵巣疾患、腎臓病、肝臓病、寄生虫・原虫疾患などが原因と考えられます。
残念なことに哺乳類のように血液検査を初めとして精密検査が徹底できませんので、まずは、症状をとりあえず押さえていく対症療法を実施します。
今回は体液を少しでも取り除くため、利尿剤と抗生剤の投薬を行いました。
現在、予後を経過観察中です。