年末・年始と多忙につき、ブログの更新をさぼってしまい、読者の皆々様ご迷惑をおかけ致しました。

本年の疾病紹介第一弾は、セキセイインコの卵塞(卵づまり)と卵管脱です。

この卵塞と卵管脱は非常に関連が強く、臨床の現場でも遭遇することが多い疾患です。

以前、鳥の疾病の項でご紹介したこともありますが、今回さらに刷新の意味もかねて載せます。

セキセイインコの みいろちゃん は以前から無精卵の産卵が集中して起こることもあり、時として卵塞になります。

下写真は卵塞の解除のための処置をしているところです。

下腹部を触診しますと硬い腫瘤が触知されます。

経験的にこれが卵であることが分かれば、あとは卵管膣部に詰まっている卵を手指でゆっくりと下へと移動させていきます。

こんな感じで卵塞を解除します。

患部からの出血や本人にショック症状等、認められなければ卵塞の治療は終了となります。

みいろちゃんはこの処置で暫くは問題はありませんでしたが、約1年後に総排泄腔(肛門)から腸が飛び出してしまったと来院されました。

よくよく拝見すると卵管が脱出してしまったようです(黄色矢印)。

早速、脱出した卵管を整復します。

卵管を傷つけないよう、やさしく綿棒で押し戻していきます。

この卵管を返納した状態でしばし様子を見ますと、みいろちゃんが腹圧をかけますと再脱出が認められます。

結局、総排泄腔の端を縫合糸で1針分縫いこんで再脱出を抑え込みます(黄色矢印)。

勿論、この状態で排便排尿は普通にできます。

この状態で約1週間ほど生活してもらった後、縫合糸を切って卵管の再脱出がなければ治療は終了です。

産卵を繰り返す個体は卵塞になる確率は高いですし、その結果腹圧をかけて産卵するので腹筋の発達していない鳥は卵管が脱出してしまう事になります。

結局、産卵を頻発する個体については、産卵をさせないような飼育環境を作る必要があります。

具体的には

1:巣に代わるものを与えない。

巣箱代わりになるような大きなエサ入れ・テッシュペーパーの箱等を与えない。

2:暗がりや狭い場所に行かせない。

産卵に集中してしまいます。

3:ケージの床に紙を敷かない。

紙を咬んで巣作りの気分になります。

4:交尾の刺激を与えない。

背中をさっすたりしないでください。

5:気分を他の物に向けさせて発情を抑える。

人通りの激しい所・日当たりのよい場所にケージを置く。

6:産卵してしまったら、卵を取り出さない!

産卵の都度、取り出しますとダラダラといつまでも生み足してしまいます。
最後の卵を生み終わったら10日ほど温めさせ、卵を一度に取り出してください。

以上の点にご注意いただき、繁殖関連の疾病を防止して下さいね。

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