ギリシャリクガメのヘミペニス損傷
以前、爬虫類のペニスについてコメントさせて頂いたことがあります。
ゼニガメとカメレオンとヘビのペニスについてです。(その詳細は左の下線部をクリックしてみて下さい!)
爬虫類のペニスは生殖機能のために存在します。
そしてこのペニスをヘミペニスと呼びます。
爬虫類は排尿は総排泄口から行い、ヘミペニスでは排尿しません。
今回は、飼主様が誤ってこのヘミペニスを引きちぎって、大きな穴がお尻に生じ、その欠損部を修復する過程をご紹介します。
ギリシャリクガメの太郎君(雄、8歳)は、肛門とは別に尻尾の付け根に皮膚欠損が生じたとのことで来院されました。
下写真黄色矢印が総排泄腔で、黄色丸が欠損部です。
この皮膚欠損部はよくよく診ますと、総排泄腔へと降りてくる直腸に横穴が開いてしまっている感じです。
下写真黄色丸が示す欠損部内外に、糞便と共に排泄される尿酸の白い粉が付着しています。
そして、飼主様が「何かわからないけれど体から出ていたものを引っこ抜いて持ってきた」という組織片が下写真です。
以前コメントしたゼニガメのヘミペニスとは見た目が異なりますが、これはギリシャリクガメのヘミペニスです。
おそらくヘミペニスが脱出して戻らなくなっており、たまたま飼主様がそれを発見されて、ヘミペニスと知らずに引っこ抜かれてしまったようです。
まずは、欠損部を綺麗に消毒洗浄します。
洗浄しますとこのように欠損部は赤くなっています。
患部周辺に局所麻酔を実施します。
間違って直腸を傷つけないために総排泄腔からカテーテルを挿入して、直腸を保護します。
陳旧化した皮膚はトリミングして新鮮創をつくり縫合します。
今回、尻尾の付け根に欠損部が入り込んでいますので、縫合は非常に難易度が高かったです。
下写真黄色丸が縫合後の患部です。
このまま縫合部が開かないのを信じて、経過を診ていきたいと思います。
爬虫類のヘミペニスにまつわる障害は意外と多いです。
まずは飼主様がヘミペニスの存在を知らないというケースが多いため、実際に遭遇してビックリされる方もみえます。
やはり飼育していく上では、自分のペットの体の構造はある程度は理解して頂きたく思います。
太郎君、早く良くなって下さいね!!
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