アフリカウシガエルの外傷(皮膚欠損)
こんにちは 院長の伊藤です。
当院では、両生類の治療も実施しておりますが、このところの猛暑から色々な疾病になり、来院される両生類も増えてます。
本日、ご紹介しますのはアフリカウシガエルの外傷による皮膚欠損です。
アフリカウシガエルは、両生綱無尾目アカガエル科に分類されるカエルです。
アフリカ大陸に分布し、雄が雌よりも大きくなるという特徴があります。
食性は動物食で、昆虫・小型鳥類・小形哺乳類・そして共食いも行うとされます。
雄は繁殖期になると水場の近くで幼生(オタマジャクシ)を守り、近づいてきた動物に対して威嚇したり、咬みついたりします。
そんなアフリカウシガエル君(名前はなし、雄、年齢1歳未満くらい,)が左の脇腹の皮膚がたるんで変色しているとのことで来院されました。
下写真の黄色丸がその病変部です。
患部は、何か強い力で皮膚が引っ張られて、断裂する手前の状態です。
伸びきった皮膚の周辺は内出血の跡が認められます。
皮膚の一部は欠損していました。
鉗子で皮膚欠損している部位を確認しています。
腹筋を穿孔した傷は無いようで、皮下を洗浄します。
患部周辺を局所麻酔するために塩酸リドカインのスプレーをします。
既に壊死しかけている皮膚を切除するためにトリミングを行います。
もともとカエルの皮膚は強靭な作りになっていますが、強い力が加わり皮膚が伸長しきってしまったようです(下写真白矢印)。
半導体レーザーで伸長した皮膚を切除していきます。
下写真の青矢印は強靭な腹筋です。
皮膚をトリミングした後は、縫合します。
このアフリカウシガエル君は大人しく、暴れることもなく無事皮膚縫合は完了しました。
両生類は当然のことながら、水辺での生活となりますから、外傷を受けると二次的な細菌感染が懸念されます。
皮膚縫合が完了するまでは、薬浴(メチレンブルー)をしていただくよう指示させて頂きました。
局所麻酔だけで対応できたので助かりましたが、実際カエルの外来は外傷治療が多いです。
強靭なカエルはそのままで傷が治癒するケースもありますが、傷口からの二次感染で死亡するケースが多いように感じます。
両生類の外傷は早めに治療を受けるように強くお勧めします。
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