フェレットの異物誤飲(その2)
こんにちは 院長の伊藤です。
蒸し暑い日が続いてますが、皆様のペット達はいかがお過ごしでしょうか?
この1~2週間は熱中症の患者様の来院が増えています。
今の時期、涼しい環境で飼育することを念頭に置いて下さい。
さて、本日はフェレットの異物誤飲についてご紹介します。
以前も異物誤飲について載せましたが、興味のある方はこちらをクリックして下さい。
フェレットのユキちゃん(避妊済、体重1kg、1歳10か月齢)は異物誤飲の疑いで他院からの転院です。
触診しますと下腹部に小指頭大の腫瘤が認められます。
これが異物なのか腫瘍なのか、確認のためレントゲン撮影を実施しました。
下レントゲン写真の黄色丸は異物の可能性があります。
下写真赤矢印は顕著なガス貯留による腸管拡張を示してます。
一般には異物閉塞部から近位端(頭側側)にガスは貯留します。
下写真の黄色丸が上写真の異物と思しき陰影です。
続いて、エコーで異物と思われる部位を調べてみました。
下写真は球体状の異物を表しています(黄色丸)。
レントゲン・エコーの結果から、間違いなく異物を誤飲していると思われましたので早速、外科的に摘出手術を行うこととなりました。
まずは点滴のために前足の橈側皮静脈に留置針を入れます。
イソフルランで麻酔導入します。
導入がスムーズに出来ましたので、生体モニターを装着します。
ユキちゃんはしっかり寝ています。
これから開腹手術を実施します。
腹筋を切開します。
腸を体外に取り出した写真です。
黄色丸は異物を示します。
腸閉塞を起こしており、腸の色は充うっ血色を呈しており、閉塞から時間が経過しているのが推察されます。
異物の直上にメスで切開を入れます。
ボールと思しき球体が腸管内に閉塞しているのがお分かり頂けると思います。
切開部を軽く圧迫して、ボールを摘出します。
腸の内容物が漏出してきますので、速やかに切開部を縫合します。
腸管の管腔径の狭窄を防ぐために、欠損部を横断するように縫合していきます。
4-0の吸収糸を使用して、単純結紮縫合で行っています。
縫合は完了しました。
縫合部(黄色丸)は、腸管狭窄を防ぐため切開ラインと平行に縫合してため、若干いびつな形状をしてます。
縫合部を洗浄します。
腹筋を吸収糸で縫合します。
皮膚縫合して手術は終了です。
摘出した異物(ボール)です。
おそらく腸管内で停留していた時間が長くて、ボールの色は退色して表面は柔らかく劣化しています。
麻酔から覚醒したユキちゃんです。
以前に載せたフェレットの異物誤飲の記事にも書いたことなんですが、若いフェレットはボールやウレタン地の物体、消しゴムなどの弾力性のある異物が大好きです。
1㎝を超える異物を誤飲した場合は、すぐに病院を受診して下さい。
飼い主様が気づかないまま、数日を経過すると腸管が壊死する場合もあり、術後も予後不良になる場合があります。
ユキちゃん、お疲れ様でした!
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