イエアメガエルの皮膚欠損
こんにちは 院長の伊藤です。
本日はカエルの皮膚疾患をご紹介します。
両生類における皮膚は非常に重要な働きをしています。
カエルの皮膚は柔軟性があり、湿潤な状態を保っています。
皮膚自体は非常に薄く、皮膚を通して水分吸収や呼吸(皮膚呼吸)を行っています。
皮膚に分布する分泌腺から出る分泌物で皮膚の乾燥は守られ、細菌の侵入を防ぎます。
両生類では、外傷と言う形で皮膚に障害を受けることが多いです。
イエアメガエル(名称なし、性別、年齢不明)は皮膚の外傷で来院されました。
イエアメガエルはオーストラリアやニュージーランド、ニューギニアに棲息する樹上棲腫のカエルです。
体長は6~10cmで寿命は10年以上と長いことから、ペットとして国内でも人気が高い種です。
皮膚を広範囲にわたって受傷してます。
飼い主様によれば、樹上での移動中に皮膚を傷つけ、傷口が吻開したとのことです。
イエアメガエルは樹上生活をするカエルのため、常時水中で生活するわけではありません。
そのため、皮膚の外傷による感染症は比較的重症になるケースは少ないと感じてます。
この傷を診る限りは受傷してから、そこそこの時間が経過しているようです。
哺乳類なら皮膚をデブリードメント(感染、壊死組織を除去し創を清浄化すること)して、新鮮創を作り皮膚をフラップ(皮弁)を形成するなりして対応します。
両生類の皮膚は非常に薄く、また伸張性にかけるために、今回のような広範囲の皮膚欠損では、縫合は厳しいと思われました。
結局、皮膚欠損部に新鮮な肉芽組織が形成されるように、保護していくしかないです。
ガーゼ包帯や特殊な素材(ポリウレタンフィルムやハイドロコロイドなど)をドレッシング材として患部を保護することも、カエルの場合は難しいです。
結局、悩んだ末に創部に抗生剤の軟膏と肉芽組織の再生を促進させるアイプクリーム®を塗布して、定期的に患部を洗浄する方法で行くこととしました。
患部に抗生剤クリームを塗布してるところです。
次いで、患部の肉芽組織を造成させるためアイプクリーム®を塗布してます。
見た目は綺麗ではありませんが、イエアメガエル君はおとなしく、激しい動きをしませんので患部を自傷することはないように思います。
この治療の経緯はまた、改めてご報告します。
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