アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(ボール)
本日もアーカイブシリーズです。
引き続いて犬の異物誤飲です。
ボールを誤飲してしまったラブラドルレトリバーのお話です。
大型犬で食道も太いため、嘔吐剤を投与して異物を吐き出すことが出来た症例です。
全ての犬種に該当できる治療法ではありません。
状況に応じて外科的に開腹して摘出するか、内視鏡で摘出するかという選択が必要となります。
こんにちは 院長の伊藤です。
本日は久しぶりの異物誤飲の症例をご紹介します。
ラブラドルレトリバーのバル君(雄、2歳6か月、体重27kg)は遊んでいてボールを飲み込んでしまったとのことで来院されました。
飼い主様の見てる前での行動ですから、誤飲は間違いありません。
早速、レントゲン撮影をしました。
下写真の黄色丸がボールです。
柔軟性を持った柔らかな素材のボールのようです。
ボール内の空気が抜けてつぶれて胃の中に納まっています。
レントゲン画像からその大きさを測定すると約8cmの直径です。
バル君の体格で、柔らかな素材(ビニールやゴム)の場合であれば、催吐剤を使用して吐かせることは可能です。
嘔吐させるつもりが、食道あたりでボールが詰まってしまうと逆効果となります。
異物誤飲の場合は嘔吐剤で吐かせるか、あるいは胃切開で外科的に摘出するか、誤飲した異物の大きさと材質、犬の体格や気質などを総合的に判断して対応させて頂きます。
バル君に催吐剤を飲ませて、5分くらいでいきなり嘔吐が始まりました。
胃液と共にボールが出て来ました。
バル君は特に苦悶するわけでもなく、簡単にボールを吐き出すことに成功しました。
吐きだせなければ、最終的には胃を切開してボールを摘出しなくてはなりません。
スタッフ共々、ホッとしました。
バル君自身は異物を飲み込んだことに対する反省はなさそうです。
今回飲み込んだボールです。
大型犬になると10cm位の異物なら簡単に飲み込んでしまいます。
過去の患者様で、異物誤飲で3回胃切開や腸切開をして摘出手術をした症例があります。
犬自身は、異物誤飲の怖さを認識できません。
やはり、飼主様が犬の口の届く範囲に異物を置かないようご注意して頂くしかありません。
現在は、屋外よりも室内犬が圧倒的に多い飼育環境となってますから、なおのことです。
一度、異物誤飲した犬は2度、3度と繰り返すということをお忘れなきようお願い致します!
バル君は催吐剤の使用で胃の中が荒れることが予想されますので、胃粘膜保護剤を投薬させて頂きます。
すっきりした顔でご帰還のバル君でした。
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