ボールパイソンの感染性口内炎
こんにちは 院長の伊藤です。
残暑厳しい毎日ですが、皆様お変わりありませんか?
雑務に追われてブログの更新が滞り、申し訳ありません。
本日、ご紹介しますのはヘビの口内炎です。
ヘビは、生餌を捕食した時に口腔内を傷つけたり、硬い食餌を捕食した際に歯が歯茎に食い込んだりして細菌性の口内炎を引き起こします。
この症状を称して、感染性口内炎(マウスロット)と呼んだりします。
以前にも、マウスロットの記事を載せてますので、興味のある方は こちら をクリックして下さい。
ボールパイソンの和代ちゃん(雌、体重1.85kg 4歳4か月齢)は頭部が腫れてきたとの事で来院されました。
左側の上顎部が腫大しているようです。
下写真の黄色丸・黄色矢印はその腫大している患部を示します。
左側口唇部をめくると赤く腫れた患部(黄色丸)が認められます。
和代ちゃんは食欲も落ちているとのことです。
この腫大している部位がどうなっているかを確認するために細胞診を実施しました。
細菌感染によるものか、腫瘍が発生しているものなのか、明らかに出来ればと思います。
下写真にように針を患部に穿刺して吸引した細胞を染色して確認します。
針穿刺した部位を圧迫しても出血・排膿は認められませんでした。
結果として、下写真の黄色矢印が示すように高度の細菌感染(青く点状に染色されているのが細菌)が認められました。
腫瘍を示唆する異型性細胞は認められませんでした。
患部をレントゲン撮影してみました。
下写真の黄色丸が腫大した患部を示します。
上顎骨の融解像が確認できます。
細菌感染による口内炎で歯根部から歯槽骨に至る箇所が壊死融解したものと思われます。
以前に掲載したグリーンパイソンのマウスロットと比較して、歯肉・歯根からのチーズ様の膿の存在は認められませんでしたが、これから進行する病態と考えられます。
細菌が産生する毒素により、歯槽骨が融解する現象は哺乳類同様、爬虫類でも起こります。
ただ歯槽骨として機能できなくなりますので、餌を咀嚼することは厳しいと思われます。
蛇の場合は、餌を丸呑みこみしますので、和代ちゃんも何とか採食行動は可能でしょう。
今後、患部の外用薬の塗布と抗生剤の内服で経過を診て行きます。
和代ちゃん、頑張って治していきましょう。
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