こんにちは、獣医師の苅谷です。

プロ野球も雨天中止を除き、交流戦は終了しましたね。

交流戦1位は来週火曜日の阪神VS日ハムの試合で決まるようですね。

今回は高齢猫においてよくみかける慢性腎臓病についてお話しします。

なぜ高齢猫において慢性腎臓病が多いのかですが、その理由は一般的に飼われているイエネコの起源を辿るとわかります。

イエネコの起源はリビアヤマネコという中東の砂漠などに生息していたものといわれています。

砂漠という水や食料となるものが乏しい環境において生活するうえでは、体の外に排泄するものは最低限にしなければなりません。

そのため体の老廃物や毒素を排泄したり、必要な水分や栄養素を再吸収する腎臓はかなりの負担がかかってきます。

そのため、年を重ねるごとに腎臓はその疲労による障害が蓄積し、機能が落ちていきます。

加えて腎臓は一度機能を失うと再生されません。

そのため慢性的な腎不全の状態、慢性腎臓病になってくるわけです。

さて、慢性腎臓病とは腎臓の機能に異常が3か月以上続いている場合のことを示します。

この病気の初期の状態ではほとんど症状は出ません。

徐々に病気が進んでいくと水の飲む量やおしっこの量や色の濃さが変わっていきます。

更に病気が進行してくると食欲がなくなったり、毛艶が悪くなったり、吐いたり、動かなくなったりと症状が出てきます。

このような症状が出てくる末期の状態―腎不全は腎臓の機能が3/4以上失われた状態ですが、猫の場合、1/3しか腎臓が機能してなくても症状はあまり出てきません。

症状が出てくるころには腎臓は1/4以下しか稼働しておらず、末期の状態であるといえます。

慢性腎臓病の治療は初期の状態で発見できれば、食事制限、サプリメント、薬の内服にて対応することができますが、末期になってくると治療に制限ができたり、持続的な点滴が外せなくなってきます。

慢性的に失われた腎臓の機能は元には戻らないため、長期的に慢性腎臓病と向き合っていかなければいけません。

また早期発見治療した場合と末期の状態で発見治療した場合では生活の質(QOL)や生存期間にかなりの差が認められます。

それ故、慢性腎臓病は早期発見・治療が重要となってきます。

最後にこの慢性腎臓病はどのような検査でわかるかですが・・・

血液検査や尿検査でわかります。

慢性腎臓病の発症率は6~7歳くらいから増加しはじめ、10歳以上では急増し、20頭に1頭となっていきます。

動物たちの歳の取り方は私たち人と異なり、だいたい1年あたり4~6歳のスピードで歳をとっていきます。

猫の慢性腎臓病の発症率が増加し始める6~7歳は人でいう40代の中年、10歳以上だと初老・高齢になってきます。

私たちも年に一度健康診断で血液検査を受けると思います。

猫ちゃんにおいても慢性腎臓病の増え始める6~7歳からは年に一度の健康診断として血液検査を受けてみることをお薦めします。

シニア世代に入った猫ちゃんは血液検査を受けたほうが良いんだと思った方は

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