獣医師平林のコラム~仔犬と仔猫の低血糖~
まだまだ暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
人間にとっても、動物たちにとっても、この気温はこたえますね。
私は毎朝満員電車に揺られて通勤していますが、ドアが開いた瞬間のムワッとした空気がなかなか慣れないです。
さて、まだまだ未熟者で修業中の私ですが、実質初めてとなる今回の記事は、体が未熟な仔犬や仔猫に多い低血糖についてお話をさせて頂こうと思います。
まず、低血糖とはそもそもどういった状態なのか?というところからですが、その名の通り、
低血糖になると、一例として以下のような症状が見られます。
・元気がなくなる
・運動を嫌がる
・多飲多食
また、重度になると、以下のような症状が見られることがあります。
・けいれん
・失神
・呼吸困難
・四肢の不全麻痺
・命の危機
では、なぜ低血糖に陥ってしまうのか?ということですが、その原因として主に次のようなものが挙げられます。
・仔犬、仔猫であること
体が未熟
・糖の過剰消費
妊娠、狩猟、激しい運動
・栄養失調
根本的に糖が不足している場合
・インシュリノーマ
膵臓が腫瘍化することでインスリンというホルモンが過剰になり、糖が「利用できるかたち」から「蓄えるときのかたち」への変換が過剰になります。
・糖新生の低下
肝臓で糖を新たに作りだすことを「糖新生」と言います。肝臓に障害が起きると、これが阻害されてしまうことがあります。
以上、低血糖の主な原因について簡単に述べさせて頂きましたが、お分かり頂けたでしょうか?
病気や栄養不良によるものはある程度イメージしやすいかと思いますが、「仔犬や仔猫である」ということが原因で低血糖を起こす、というのはピンとこないかもしれませんね。
その理由は、新生仔の肝機能が未熟であることに由来します。
新生仔は糖を肝臓に蓄えておく能力が乏しく、糖新生の能力も不十分です。
このため、短時間(6~12時間)の絶食でも低血糖の症状が出てしまうことがあるのです。
たとえ健康な仔であっても、低血糖は仔犬や仔猫と暮らす上で気を付けなければならないものの1つとなっています。
低血糖を未然に防ぐには、給餌の回数を増やす、ミルクをいつでも飲めるようにする、といったことで絶食の時間を短くすることが第一です。
いざというときに慌てないよう、仔犬や仔猫をお迎えして新しい家族として暮らし始める際には、彼らにとって身近な低血糖、というものについて事前に少し知っておくと良いかもしれませんね。
少しでも多くの患者様に寄り添えるよう、日々精進してまいりますので今後ともよろしくお願い致します!
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