獣医師伊藤の自己紹介と”使用しない方がいい”飼い鳥の飼育グッズ
当ブログを見てくださっている皆さま、初めまして、去年の7月から勤務している獣医師の伊藤文人と申します。
自分は愛知県出身で、酪農学園大学を卒業し、関西の動物病院で勤務医をしたのち、もねペットクリニックにやってきました。
スキーや映画鑑賞が趣味で、北海道で学生をしていた時は、よく札幌周辺のスキー場へ通っていました。
名古屋近辺に住んでいると想像しにくいですが、札幌周辺には日帰りで行ける距離にスキー場が複数あって、
雪に縁のなかった学生もたいていスキー、スノボができるようになって卒業していきます。
以前勤めていた動物病院は、もねペットクリニックと同じくエキゾチックアニマルも含め幅広い動物種の診察を行う病院でした。
なかでも、エキゾチック担当の先生が鳥の専門病院に長年勤めていたこともあり、特に鳥類の診察件数が多く、
その先生から飼い鳥の診察について、専門病院で培われてきた多くの経験と知識を学ばせていただきました。
こういった経緯もあり、今回は当院のホームページで触れられていない
飼い鳥の”使用しない方がいい”飼育グッズについて軽くお話させていただこうと思います。
以下にそれらのグッズを紹介していきます。
塩土
赤土、塩、ボレー粉を石膏で固めて作られ、昔からミネラル補給、嘴のトリミング目的で使用されている副食です。
よく使用されている飼い主さんも見かけるのですが、最近では次の大きなデメリットから基本的に使わない方がいいとされています。
① 小石や砂の過剰摂取によって、砂嚢の逆流や胃腸が荒れるなどの消化器疾患の原因になる。
鳥には口から食べたものを砂礫ですりつぶして消化を助ける砂嚢という器官があります。
塩土に含まれる砂や小石が、その砂礫をためることに役立つとされています。
しかし皮を剝いて実を食べる多くのインコにとってはさほど砂礫は重要でないらしく、
むしろ食べ過ぎの結果、砂礫の逆流による嘔吐、結晶が粘膜を傷つけたり、胃腸がうまく動かなくなる、うっ滞などの原因になる事が多いです。
② 塩分の取りすぎ
人間もそうですが、塩分の取りすぎは腎臓への悪影響を及ぼす可能性があります。
③ カビなどの衛生面の問題
塩土の上にフンをしたりして不衛生で、湿った状態を放置すると塩土の表面にカビが生えることがあります。
そんなものをかじるのは明らかに健康によくないですが、
なによりカビの仲間は呼吸器や肝臓にかなりの悪影響を与える病気の原因になることも多いです。
サンドパーチ
小鳥の爪のケアを目的に止まり木の表面を砂などでコーティングしてあるものです。
初めからコーティングされた止まり木タイプや、今ある止まり木に巻いて使用するカバータイプのものがよく売られています。
鳥が爪を削る目的どおりに使用してくればいいのですが、猫のように自分で爪を研いでくれるわけもなく、
ただ足の裏を削るだけに終わるケースが多く、ひどいと皮膚炎などの原因になります。
さらに表面の砂をついばむ子も多く、塩土の時と同じく、その砂が胃炎や砂礫の逆流などの消化器疾患の原因になる可能性もあります。
このように時代によって正しいとされている飼い方は変化していきますし、
市販されているからといって必ずしもペットにとって有益なばかりのものとは限らないケースもあります。
日々、情報の更新を心がけていきたいですね。