鳥にとって翼は肢の骨同様、重要な器官です。

骨折の発生部位としては、肢に次いで多いのが翼です。

飼育ケージの中で生活している分には問題はないのですが、部屋の中で放鳥した場合、翼を傷つけることがあります。

本日ご紹介するのは、オカメインコのドラコ君(♂、3歳)です。

左の翼が下がっているとのことで来院されました。

翼を触診すると痛がります。

触診では特に翼の骨折時に生じる軋轢音はなく、翼の内出血も認められませんでした。

念のため、レントゲン撮影を実施しました。

下写真をご覧頂いて、異常な点にお気づきになりましたか?

下写真の黄色丸で囲んだ箇所が問題です。

橈骨・尺骨共に亀裂が生じていて、完全に骨折しているわけではありません。

若木骨折(greenstick fracture)とも呼ばれ、弾力性があって骨膜が厚い骨の場合、完全に折れずに生木を折ったようになります。

この場合、骨髄ピンで内固定することはせず、テーピングによる外固定を実施します。

鳥の場合、翼をたたんだ状態でテーピングを行います。

若木骨折をしてる箇所を粘着性テープでしっかりテーピングします。

その後、翼をたたませて胴部の全周を紙テープで胸を圧迫しないようにテーピングします。

この時、強くテーピングしますと胸郭運動が抑制されて、呼吸不全を来しますので要注意です。

ドラコ君はこの状態で約10日~2週間ほど過ごして頂きます。

鳥の羽ばたきは強い力を要しますので、このテーピングで羽ばたきをブロックします。

結果として、若木骨折している橈尺骨に休息を与え、亀裂骨折している部位を回復させます。

デリケートな個体では、このテーピングのストレスで食欲低下や自傷行為に至る場合があります。

ドラコ君、テーピング期間おとなしく過ごして下さいね。

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