こんにちは 院長の伊藤です。

本日、ご紹介しますのはセキセイインコの尾脂腺が炎症を起こした症例です。

鳥類には尾脂腺という分泌腺があります。

尾脂腺からの分泌液で羽に撥水性を与えているとの説がありますが、実のところ尾脂腺の働きはまだ良く分かっていないようです。

上尾筒と言われる尾羽の付根を上面を覆う羽があります。

この上尾筒に尾脂腺は覆われて、外側からはよく分からない部位と言えます。

セキセイインコのピーちゃん(雄 7歳)は一年位前から尾羽あたりに腫瘤が出来て、お尻周りを気にして嘴で突っついたりしているとのことで来院されました。

下写真黄色丸が尾羽に出来た腫瘤です。

セキセイインコの体からすれば、大きな腫瘤と言えます。

良く診ますと尾脂腺に内容物が貯留していたり、尾脂腺が腫瘍化したものではどうやらなさそうです。

尾脂腺乳頭部が角質化して腫大しているようです。

飼い主様の希望もあり、外科的摘出をすることとなりました。

局所麻酔(リドカイン)を切除部位にスプレーします。

電気メス(バイポーラ)にて患部を凝固切除します。

今回は尾脂腺を全摘出しませんので、ほとんど出血は認められません。

無事腫瘤が摘出されました。

切除部位も皮膚に大きな障害を与えることなく綺麗な状態です。

切除した腫瘤です。

この腫瘤をスタンプ染色しました。

黄色丸で囲んだ部分には真菌(酵母菌)やブドウ球菌が認められました。

尾脂腺が何らかの要因で腫大し、その病理的診断をしたところ良性と悪性(癌)の腫瘍である割合は50%ずつと報告されています。

ちなみに尾脂腺癌、扁平上皮癌、尾脂腫瘍(良性)、尾脂腺嚢胞症、尾脂腺腫、羽包上皮腫、亜急性尾脂腺炎等など尾脂腺腫大の病理学的診断には様々な種類が挙げられています。

今回のぴーちゃんの尾脂腺の腫大は、真菌性感染性角化更進性尾脂腺炎と診断いたしました。

真菌感染が最初に起こり、次いで尾脂腺及び周囲の皮膚の角質化が起こり、尾脂腺が炎症に至るという疾病です。

この疾病になってから、度々患部を突っついて出血もあったそうなので、患部を取りスッキリできて良かったです。

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