猫の咬傷(その2)
猫の咬傷例を先回ご紹介しましたが、また新しい症例です。
右の後肢を喧嘩で相手の猫に咬まれました。
黄色い丸の中が咬み傷で皮膚は既に欠損しています。
毎回思うのですが、なぜここまで喧嘩してしまうのでしょうか?
特に敵に後ろを見せて逃げようとするものを徹底的に攻撃する必要はあるのでしょうか?
猫の考えることはよくわかりませんが、彼らも自分達の縄張りを守るために人知れずの努力をしているのでしょう。
全身麻酔をかけて、まずは患部をしっかりと洗浄してから縫合します。
咬傷が足首からつま先にかけてなので、緊張をかけて縫合しています。
外へ自由に出ていく猫なので、術後の外出及び激しい運動は禁止です。
そう言ってから術後一週間ぐらいで、傷口が開いたとこのとで来院されました。
傷口はこのようにしっかり開いています。
しっかりと皮膚が付くように新たに創面を鋏でカットして作ります。
肢の先端部に行くほど縫合時の皮膚の緊張は増します。
先回のようなナイロン糸では緊張に耐えられないようなので、ステンレスワイヤーで縫合することにしました。
この2週間後には傷口はしっかり治癒して無事抜糸が完了しました。
猫の咬傷は形成外科的な処置が必要なことが多く、四肢の末端に行くほど処置が難しくなります。
手術後に、野良猫なり半野良猫なり、外出を禁止させることが難しいケースが多いです。
そういった場合、また外で喧嘩をするなりして再手術になってしまうのは悲しいですね。