猫のハチ刺し
暑い毎日が続いていますが、外出された際に時節柄、ペットが昆虫類に刺されるケースがあります。
特に刺された後に症状が酷くなるのに蜂(ハチ)刺しがあります。
ハチの毒はタンパク質系の神経毒を持つものが多く、結合組織破壊、血圧降下、細胞膜透過性亢進、平滑筋収縮などを引き起こします。
蟻酸(ぎさん)を含み、これが疼痛の原因となります。
ハチは毒液を貯留する毒嚢や毒針が尻部に存在します。
もともとこの毒嚢や毒針は産卵管が変化したものとされています。
つまり刺すのは雌のハチだけです。
今回ご紹介するのは、アメリカンショートヘアのビトー君です。
ビトー君は飛んでるハチを追いかけて外に飛び出したまでは良かったのですが、ハチの逆襲に遭い前肢(肉球)を刺されてしましました。
下の写真の黄色い丸にありますように右の前肢がかなり腫れているのがお分かりになると思います。
一般的にはハチ刺しされた局所の腫脹、軽度から重度の疼痛、発熱が認められます。
ハチの毒液に対する感受性の強い個体の場合は、全身性のアナフィラキシーショックを起こし死亡する場合があります。
アナフィラキシーは刺されてから15分以内に起こります。
血圧低下、嘔吐、脱糞、脱力、可視粘膜が蒼白となり、重症化するとショック死します。
ビトー君の場合は患部の腫脹はありますが、アレルギー反応は出ていませんので患部の炎症を抑える治療に留めました。
このハチ毒については特異的拮抗薬はありませんので、過去に同じ種のハチに何度も刺された経験のあるペットの場合は、よくよく注して下さい。