マダニの予防は、飼い主様の多くが、日常的に予防薬を投薬して実施されています。

基本は周年予防をお願いしていますが、それでも冬場のマダニ感染は必要ないとお考えの飼主様も少なからずみえます。

本日、ご紹介しますのはマダニ感染を受けたトイプードルのテスちゃん(2歳、雌)です。

山の中を散歩して自宅に帰ってきたら、ダニがたくさん付着しているとのこと。

ちなみにテスちゃんは定期的なマダニ予防はしてません。

マダニは基本的に毛があまり生えていない部位を狙ってきます。

テスちゃんの眼の周辺、鼻の上部、耳介内側面に良く見るとマダニが喰いついているのがお分かりでしょうか?

まず右上瞼ですがマダニが5匹ほどいます(黄色丸)。

次に左瞼(下黄色丸)です。

4匹ほどいます。

次に耳介内側面です。

鼻部上部です。

マダニはノミの様にジャンプして犬に寄生することはできません。

丈のある草に登って行き、前脚(ハラ―氏器官)を触角のごとく広げて近くを通る動物を感知して寄生します。

マダニは寄生すると吸血しやすい場所(皮膚の薄い所)に移動していきます。

吸血する際には、くちばしを差し込んで、さらに唾液中のセメント状物質を出して、自分の体を固定します。

これは、吸血中に簡単に体が離れないようにするためです。

マダニは、吸血と同時に唾液を犬の体内に吐き出します。

この唾液によって、疾病が媒介されていきます。

マダニ感染症で有名なのは、犬バベシア症です。

バベシアは犬の赤血球に寄生する原虫で、赤血球を破壊することで極度の貧血を引き起こします。

重症例では3~4週間で死亡することもある疾病です。

下写真は、テスちゃんの体から取れたマダニ(フタトゲチマダニ)です。

今年はこのマダニ媒介性の新興感染症で重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が話題となりました。

日本では今年だけでこのSFTSウィルスによって、9名の死亡者が出ています。

このSFTSは中国での感染例では致命率が6~30%とされているそうです。

唯一のSFTS対策はマダニに咬まれないことと言われています。

犬に寄生しているマダニにヒトが咬まれれば、SFTS感染の危険はあります。

犬のマダニ対策は各社から予防薬が出ていますから、定期的に投薬していけば愛犬のマダニ感染症は恐れることはありません。

ヒト用のマダニ予防薬はありませんから、アウトドア志向の方は自己防衛しなければなりません。

マダニ予防薬のフロントラインをスポットオンして、帰宅して頂いたテスちゃんです。

冬とはいえ、マダニは活動をしている品種もいますからご注意ください!!

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