東海地方も梅雨明け宣言が出されましたね。

この蒸し暑い日々が続く中、外来の患者様の中で最も多いのが皮膚病です。

今回、ご紹介させて頂きますのが犬の疥癬症(ヒゼンダニ症)です。

マルチーズのメロディちゃんは、耳の縁を痒がり、瘡蓋(かさぶた)がたくさんできているとのことで来院されました。

耳介部の外側面が前面にわたって瘡蓋が生じており、慢性的に足で掻き続けているようで、浸出液も出ています。

耳介部の激烈な痒みと痂皮形成から疥癬(ヒゼンダニ)を疑い、早速耳介部の皮膚をメスの刃で掻破して顕微鏡検査をしました。

しっかり、疥癬が見つかりました。

強拡大像です。

卵も多数認められます。

この疥癬は、イヌセンコウヒゼンダニという外部寄生虫で季節を問わずに発症して、激しい痒みを特徴とします。

ヒゼンダニ類は卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニと各発育期を持ち、宿主の体上で一生涯を過ごします。

宿主の皮膚内にトンネルを掘り、産卵もそこで行います。

孵化したダニは新たにトンネルを掘り、一世代は2~3週間と言われます。

犬での発生部位は、腹部・胸部・四肢の腹側面で脱毛、赤い丘疹に始まり、病変が進行すると出血・出血性痂皮、表皮剥離加えて二次的な細菌感染を起こします。

犬で皮膚掻破検査をして、疥癬が見つかればラッキーです。

疥癬が見つからない場合もあり、そうなると他の皮膚疾患との鑑別が必要になります。

猫でもこの疥癬症はあります。

しかし、猫の場合は耳介の内側縁から病変が始まり、顔面、頚部、四肢へと順次広がって行き、犬よりもわかりやすいです。

治療法は、イベルメクチンの皮下注射を1~2週間間隔で数回実施して治します。

コリーやシェルティのように中毒性を持つ犬種では、セラメクチン(®レボルーション)を1か月間隔で2回、頚部皮膚に滴下します。

投薬、1週間後のメロディちゃんです。

耳介の内外側共に綺麗に治っています。

このイヌセンコウヒゼンダニの困ったところは、ヒトにも感染します。

好発部位は、犬との接触する部位に多く、ヒトの前腕部や体幹前面に紅斑性小丘疹ができ、高度の掻痒感を生じます。

今回のメロディちゃんは、まだ感染初期のステージであったため、短期間で順調に回復しています。

メロディちゃん、良かったね!

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