フェレットのシュウ酸カルシウム尿石症(その2.膀胱切開手術)
こんにちは 院長の伊藤です。
先日、フェレットのシュウ酸カルシウム尿石症(その1.前哨戦)で排尿障害のちゃちゃ丸君についてコメントさせて頂きました。
前回までのあらすじは
フェレットのちゃちゃ丸君(2歳、去勢済、体重1kg)はおしっこが出来なくて来院されました。
シュウ酸カルシウム結晶(下写真)が砂粒状になって、尿路閉塞したのが排尿障害の原因でした。
尿道にカテーテルを入れて生理食塩水をフラッシュして、尿道に詰まっていた結晶を膀胱内に押しこみました。
その後、圧迫排尿を何度も繰り返して、自力で排尿は可能(下写真)になりました。
さて、翌日のちゃちゃ丸君の処置が今回のテーマです。
尿道閉塞は解除できたと思っていたのもつかの間で、翌日のちゃちゃ丸君はまた排尿困難に陥ってしまいました。
結局、膀胱に溜まっている尿石を排出しない限り、いつかは尿道に降りてきて閉塞する可能性は高いです。
ちゃちゃ丸君の尿石は、シュウ酸カルシウムなので療法食や薬で溶解することが基本的にできません。
結局、外科的に膀胱を切開して内部に溜まっている尿石を排出するのがベストです。
そんなわけで全身麻酔下で、外科的に膀胱切開することになりました。
フェレットのシュウ酸カルシウム尿石症(その2.膀胱切開手術)の始まりです。
膨満した膀胱を穿刺して尿を吸引します。
度重なる排尿障害で、血管が怒張して色もくすんだ膀胱です。
メスで膀胱を切開します。
ペニスにカテーテルを挿入します。
尿道にカテーテルは無事挿入できましたので、これから尿道から膀胱にかけて生理食塩水でフラッシュして、洗浄していきます。
尿道から生理食塩水を注入したら、膀胱切開部から結晶と粘膜の塊が排出されてきました。
いろいろと膀胱から砂粒状の結晶(結石にはまだなっていない)が排出されました。
もうこれで何も出ないという所まで、しっかりと洗浄を繰り返します。
下写真は、尿道からフラッシュした生理食塩水が、膀胱切開部から勢いよく飛び出したところです。
尿道から膀胱まで、スムーズに生理食塩水が循環するのを確認して膀胱を縫合します。
無事、手術は終了しました。
その後、入院中もちゃちゃ丸君は排尿は問題なく、気持ちよくできるようになりました。
元気にちゃちゃ丸君は退院され、つい先日縫合部の抜糸に来院されました。
フェレットのシュウ酸カルシウム(その1)にも載せましたが、今後の課題は食餌の管理になると思います。
シュウ酸カルシウム結晶は療法食での溶解はできないので、今後再び結晶が生成されないよう動物性高蛋白食で維持していただきたいと思います。
排尿できなくて苦しい思いをしたちゃちゃ丸君ですが、これからは気持ちよくおしっこできるようになって欲しいですね!
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