こんにちは 院長の伊藤です。

年間を通してこの4月、5月はフィラリア予防、狂犬病ワクチン接種などのイベントで我々は忙殺されます。

何とか、本日ブログを更新する時間が出来ました。

モルモットは、テンジクネズミ科の齧歯類で千年以上前から馴化されて、ペットとしての長い歴史を持っています。

モルモットにおいても各種疾患は存在します。

過去の統計的資料によれば、モルモット606症例の疾病別の割合は皮膚疾患が36%、泌尿器疾患が17%、歯科疾患が15%と続いています。

歯科疾患の内訳としては、咬合異常が78%、切歯破損9%、不整咬合9%です。

そして不整咬合の60%が臼歯の過長と報告されています。

モルモットのおかめちゃん(雌、2歳6か月齢)は左の頬が腫れているとのことで来院されました。

下写真はおかめちゃんの腫大している左頬です。

かなり大きく腫れているのがお分かり頂けると思います。

触診すると腫大した頬の内容が液体を示す波動感があります。

経験的に膿瘍であると思われましたので、試験的に注射針で穿刺しました。

下写真は穿刺した瞬間に排膿しているところです。

手指による圧迫排膿を実施しています。

出来る限りの排膿した後の写真です。

先の腫大した写真と比べて頬がスッキリしているのがお分かり頂けると思います。

問題はこの皮下膿瘍の原因を明らかにしないとまた再発するということです。

齧歯類の上顎・下顎および頬周辺の腫大は多くが歯科疾患が関与していることが多いです。

おかめちゃんの口腔内の検査を実施しました。

最初に目につくのは切歯が過剰に伸びている点です。

次いで、頬を広げる器具を用いて臼歯を確認したところ、著しい右臼歯の過長が見つかりました。

下写真の黄色矢印は、右臼歯が過剰に伸びているところを示しています。

良く診ると過長の臼歯の先端が、反対側の左頬に突き刺さっているのがお分かり頂けると思います。

臼歯用のニッパーを用いて臼歯の過長部分を切断します。

切断した部位を臼歯用ヤスリで舌に干渉しないように研磨します。

下写真の黄色丸は適切な長さに調整した臼歯です。

最後の仕上げに過長してる下顎切歯(下写真黄色丸)を切歯用ニッパーで切断します。

切歯切断面をヤスリで研磨して終了です。

しばらくは抗生剤と鎮痛剤の内服が必要です。

今回のおかめちゃんは、切歯も臼歯も不整咬合により過長していました。

特に右臼歯が伸びすぎて、左頬内側を穿孔してそこからの細菌感染で膿瘍が形成され、左頬の腫脹に至ったものです。

齧歯類である以上、歯は終生にわたり伸び続けるわけですから、定期的に歯科検診を受けられることをお勧めします。

おかめちゃん、お疲れ様でした!

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