モルモットは英名Guinia pigと呼ばれています。

なぜ、pig=豚と名付けられているのか?

それは、モルモットが色んな声色を使って、他の個体とコミュニケーションをとります。

その声色の中に豚の声に似ている音があって、豚でもないのにGuinia pigと呼称されるようになったそうです。

古代インカ帝国の時代から家畜として利用されていた歴史があるそうで、野生には存在しない家畜化された草食動物です。

性格は従順・温厚な点から、モルモット・マニアの方も多く、当院でも定期的に健診を受けられる個体は多いです。

特に、モルモットの切歯と臼歯はともに常生歯といって、絶えず伸び続ける歯です。

硬いものを齧ることで歯を摩耗させ、歯の過長を調整します。

しかし、飼育環境下で歯の長さに合った齧る対象物がない場合には、必然的に歯は伸びていきます。

本日は、高度の臼歯過長で食欲不振となったモルモットの話です。

モルモットのもる君(3歳、雄)はこの数日間、食欲不振とのことで来院されました。

まずは口腔内を検査します。

齧歯類の口腔は入り口が狭く、奥行きが深いという特徴があります。

したがって、開口器という口を開ける器具を用いて臼歯をチェックします。

一般にモルモットの臼歯は上顎臼歯はハの字に外側に向かって伸びます。

下顎臼歯は内側に向かって伸びていきます。

よくよく見ますと上顎臼歯と下顎臼歯がずいぶん伸びています。

下写真黄色丸の部分をご覧下さい。

もる君の上顎臼歯は本来とは逆に、内側に向かって過長してます。

下顎の臼歯は反対側の臼歯とつながってしまうくらいの位置まで過長しています。

こうなると臼歯が口腔を傷つけ、舌の運動を制限し、餌を満足に嚥下することも難しくなっています。

早速、臼歯のカット・研磨を実施します。

ウサギと比較しても、モルモットの臼歯の歯列は30度という急角度の咬合角を持つのが特徴です。

下顎臼歯は舌に隣接していますので、マイクロエンジンで研磨するのが難しいです。

そのため、私はロンジュールや専用のニッパーでアプローチすることが多いです。

本来なら、全身麻酔を施した上、臼歯をカットするのが術者の立場からしても楽です。

しかし、生まれつき歯列異常のある個体も多く、毎月カットが必要な個体もいるわけです。

そのようなケースでは、毎回全身麻酔というわけにはいきません。

それでは命がいくつあっても足りません。

そのため、当院では基本的に臼歯処置は無麻酔で実施しています。

麻酔がない分、3人のスタッフに保定を任せて私がカットを担当しています。

5分以内で処置は終了します。

開業して以来、特にこの方法で問題なく処置は完了しています。

勿論、大暴れする個体については麻酔処置を考慮します。

もる君の場合、特に上顎臼歯の伸長異常があるため、定期的な歯科検診が必要です。

歯科的な原因が解決されたら、食欲も復活すると思われます。


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