こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ハリネズミの扁平上皮癌です。

ハリネズミは歯肉炎や口腔内腫瘍に遭遇するケースが非常に多いです。

以前、ハリネズミの扁平上皮癌という表題でコメントしましたので、興味のある方はこちらをクリックして下さい。

ハリネズミの全疾患の中で口腔内疾患は4.2%を占めると報告されてます。

またハリネズミに発生する腫瘍全体の17.1%を口腔内腫瘍が占めるとされます。

特に口腔内は腫瘍の発生部位の中で3番目に多いとされており、扁平上皮癌が最も多いとされます。

ヨツユビハリネズミのだいふく君(雄、3歳8か月、体重210g)は口の中に出来物があるとの事で来院されました。

口の中を開けて確認します。

下写真の赤矢印は舌です。

黄色矢印は舌の上に発生した腫瘤です。

角度を変えてご覧いただきます。

側面から照明を当てます。

舌に匹敵するくらいの大きさの腫瘤であることが判明しました。

患部を針生検します。

細胞診することで腫瘍か否かを判定します。

穿刺後はしばらく患部からの出血が続きました。

細胞診の結果です。

淡明~青色の細胞質と類円形の核を有する扁平上皮腫瘍(強い異型性は認められないけれど扁平上皮癌)が一部に認められました。

紡錘形細胞(間葉系腫瘍)の増殖も多く認められます。

おそらくは舌の炎症が最初に起こり、食餌などの機械的な干渉により腫瘤(腫瘍)が形成されたものと思われます。

二次的に腫瘤は、繊維芽細胞や扁平上皮細胞の増殖を招いた可能性があります。

この腫瘍は舌から派生した組織です。

まるごと外科的に舌から切除出来ると良いのですが、難易度はかなり高いです。

基本的に腫瘍細胞を患部に取り残してしまえば、扁平上皮癌ならばすぐに再生を始めると思われます。

小さな動物の口腔内腫瘍は外科的アプローチが悩ましいです。

前述のハリネズミの扁平上皮癌で記したようにピロキシカムなどの内科的治療で効果があるか否か、トライすることにしました。

今後、この腫瘍がどのように展開していくか、要経過観察となります。

現時点で食餌は出来ているようですが、腫瘍がさらに増大したら場合によっては、呼吸不全に陥るかもしれません。

だいふく君、腫瘍が小さくなるのを期待して頑張りましょう。

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