こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ウサギの耳血腫です。

以前にも犬の耳血腫について2本ほど記事を掲載させて頂きました。

興味のある方はこちら(耳血腫その1)こちら(耳血腫その2)をクリックして下さい。

ミニレッキスのミルク君(雄、2歳5か月齢、体重2.5kg)は左の耳が腫れて垂れているとのことで来院されました。

耳を拝見すると左耳の耳介内側部(黄色矢印)が腫脹しています。

下写真は患部の拡大像です。

腫脹した部位は触診しますと若干の波動感を認めます。

耳血腫の可能性が高いので、患部を穿刺して内容物を確認します。

翼状針を使用して患部の穿刺、内容物の吸引をしているところです。

ミルク君はおとなしく特に暴れることなく処置が完了できました。

下写真は吸引した耳血腫内の血液です。

約5mlの血液が貯留していました。

穿刺した患部からは、暫く出血が認められましたのでガーゼで圧迫止血しています。

今回の耳血腫がなぜ生じたかですが、耳の中に耳垢が溜まっており、おそらく耳腔内が痒くて肢で耳を強く引掻いたためではないかと思われます。

下写真は、吸引後の耳介部です。

いくぶんスッキリした感はあります。

また時間を開けずに耳血腫は出来ると思われます。

ある程度、溜まったら血液を抜くという方針で治療を進めさせて頂くこととしました。

また耳をミルク君が引掻くことで、耳血腫が引き起こされますのでカラーを装着することにしました。

暫くはミルク君はカラーを付けた生活が必要です。

3週間後に来院されたミルク君の患部です。

貯留してる血液も少量となり、穿刺吸引の必要もなくなりました。

耳介は起立することも出来るようになりました。

耳介の中心部には耳介軟骨が存在します。

この耳介軟骨の内部には軟骨洞と呼ばれる微細な袋状があり、この洞内には毛細血管が密に走行しています。

耳介部に耳を引掻くとか、頭を振るといった物理的な振動が加えられると耳介軟骨に亀裂・分離が生じ、洞内血管が出血を来して血腫が形成されます。

血腫の程度が酷くなるほどに耳介軟骨は変形します。

特にウサギは耳介が大きいため、犬と比較しても変形する程度が大きいです。

起立していた耳介が途中で折れ曲がったりするケースもあります。

耳血腫と思われたら、早期に受診して頂き治療を開始して下さい。

耳の変形は後々、審美眼的な問題を残すこともあります。

ミルク君、お疲れ様でした。

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