フクロモモンガは愛情欲求の強い動物です。

特に単独飼育の場合、飼い主様とのスキンシップを絶えず要求します。

幼体の頃から飼育するケースであれば、まめにスキンシップをとることで、飼主様にも早くから慣れてくれることと思います。

しかし、飼主様の都合で構ってあげられないようになりますと次に起こる問題は自傷行為です。

先回、この自傷行為(その1)をコメントさせて頂きました。

今回、その2として自傷行為のバリエーションをご紹介させて頂きます。

自傷行為の結果としての外傷であったり、皮膚病であるのに、意外にも自傷行為が原因であるという事実を、飼い主様がご存じないことが多いです。

何らかのストレスが原因で自傷行為を行っているんだぞ、ということを知るための一助となればと思います。

フクロモモンガのモコちゃん(2か月齢、雌)は足の裏が皮膚病で爪も一部取れてしまっている(下写真黄色丸)とのことで来院されました。

過去にも別件で足の爪を全部自分で剥いでしまった症例を経験しています。

まだそれほどひどいわけではないですが、このまま治療しないと指を咬みちぎる段階までいくと思われます。

結局、外用薬を使用しても、自身で患部を舐めたり咬んだりして生じた疾病ですからあまり意味がありません。

まずは、患部にアプローチできないようにカラーを装着します。

1週間ほど患部が舐められなければ、患部の回復は良好となるでしょう。

しかし、このエリザベスカラーはこれまでにも色んな素材・形状のものを考案してきましたが、これが決定打というところまで至っておりません。

フェルト生地のカラーは軽量で皮膚にも優しいメリットがあります。

しかし、生地としての腰が弱い点、横向きの力で強く牽引されると簡単に伸びてしまうといった欠点があります。

腰の強さを追及するとレントゲンフィルムを細工してカラーにするのも一案ですが、頸の周囲の皮膚に食い込んで皮膚が切れて大変なことになります。

今回は四肢の指に口が届かないようにポンチョ的な大きさで、しかもラッパのように上に向かせず、シャンプーハットの様にかぶせるだけの形状にしてみました。

従来のカラーの形状に比べて解放感があり、装着後の大暴れはありません。

捕食時の姿勢は両前足で餌を持ってというスタイルですが、顔を餌に近づけていわゆる犬食いスタイルでも摂食可能です。

あとは患部の消毒と抗生剤の内服で経過観察となります。

もこちゃんからすれば、この治療もストレスです。

一日も早く回復されることを切望します。

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