爬虫類にはダニの感染はつきものです。

犬猫のように哺乳類のダニ感染と見た目が若干異なり、自然の摂理の奥深さには驚かされることがあります。

今回、ご紹介しますのはフトアゴヒゲトカゲのダニ感染症です。

はるばる長野県からお越しいただいたフトアゴヒゲトカゲ君(年齢不明、雄)は、体表部に広範囲にわたってダニの感染が認められるとのことで来院されました。

おそらくこの写真でパッと見、ダニとわかる方はいないと思います。

下写真の黄色丸内がダニの寄生部位です。

鱗の間に赤い物体が付着しているのがお分かり頂けるでしょうか?

次に尻尾です。

この赤い物体をセロテープを皮膚に押し付けて付着したものを調べてみました。

下写真の様にぎっしりとダニが付着しています。

フトアゴヒゲトカゲの血液を吸引して体全体が赤くなっています。

顕微鏡で見てみました。

体は扇形をしています。

犬に寄生するフタトゲチマダニなどとは形状容姿が随分異なります。

体がつぶれてしまったダニです。

私なりになぜこのような形状なのか、考えてみました。

爬虫類の皮膚から吸血する場合、鱗が当然邪魔になります。

ダニが皮膚にアプローチするには鱗の間を攻めるしかありません。

喰いつけば当然、宿主の爬虫類は引掻いて外そうとします。

この扇形の形状ならば、鱗の間に綺麗にフィットします。

加えて宿主による攻撃にも、わずかに鱗の間から出ている体はうまくかわすことが可能でしょう。

宿主の血液を吸って赤くなった体は、あたかも爬虫類の号彩色に紛れて外部からは、違和感なく見えると思います。

このダニを如何に駆除するかです。

イベルメクチンの内服薬を処方させて頂きました。

爬虫類のダニ寄生は飼育環境下からの感染というよりは、ショップで販売されている時点で既に寄生してることが多いようです。

この駆虫薬で対処する一方、飼育環境の清掃、消毒が必要です。

ケージ・シェルター・水入れ等をこまめに掃除して下さい。

ダニを一匹ずつピンセットで摘出される方もみえますが、皮膚・鱗を傷つける場合もありますので注意が必要です。

ベビーオイルやオリーブオイルを体に塗布して、ダニを呼吸困難にさせ駆除される方もみえますが、完全に落とすことは難しいです。

むしろ、早めに爬虫類を診察する病院で駆虫薬を投薬された方が、効率よく駆除できると思います。

フトアゴ君、早くダニを落としてスッキリして下さいね!

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