ニシキトゲオアガマのクル病(骨代謝障害)
本日、ご紹介させて頂くのはニシキトゲオアガマです。
エジプト・イスラエル・サウジアラビア原産のアガマです。
トゲオアガマの仲間で、体色が極彩色な点が特徴です。
青や緑を基調として赤、黄、黒などが斑点上に入った体色です。
食性は植物のみを対象とし、特に花を好んで食べるそうです。
そんなニシキトゲオアガマのアキラ君は、最近食欲低下ということで来院されました。
爬虫類の食欲低下は、飼育環境・食餌が原因となることが多いです。
アキラ君の飼主様は、飼育環境には非常に気を使っていただいており、スポットライトは照明器具以外にホットスポットとして昼間の高温部は45~50℃、低温部は27~32℃、夜間は25℃位に保っているようです。
爬虫類は変温動物ですが、腸内細菌の活動を維持するためにも、食後の消化を助けるためにも、飼育ケージ内にホットスポットと呼ばれる暖かい場所を設定しなければなりません。
また温める以外にも照明器具としては、紫外線ランプが必要です。
勿論、飼い主様が時間に余裕があり、一日の中で一定時間日光浴できるのならベストです。
それが出来ない環境であるなら、紫外線ランプは必要です。
紫外線ランプを照射することで、ビタミンD3を合成し腸管からのカルシウム吸収を促します。
食餌に関しても、その爬虫類の品種の食性にあった餌を選択することが重要になります。
特に幼体の時期にこの環境設定、食餌管理が不適切だと疾患に至る場合があります。
今回のアキラ君は、その疾患の中でも発症率の高いクル病に罹患されています。
クル病の詳細はこちらをクリックして、ご参照ください。
アキラ君の背中を診ると肋骨の位置が左右でずれているのがお分かりになりますか?
下写真の黄色丸と矢印で示すように肋骨の変形が認められました。
アキラ君の年齢は不明なんですが、少なくとも幼体時のクル病(骨代謝障害)から肋骨の変形が生じたと思われます。
アキラ君を飼主様が購入された時点から、どうやら肋骨の異常はあったようです。
クル病対策として、ビタミンD3・カルシウムの内服を処方させて頂きました。
以前、フタアゴヒゲトカゲのクル病でクル病が進行して、歩行不能になった症例をご紹介しました。
アキラ君は歩行に問題はなく、おそらく骨格の異常はあるけれど整形外科的な疾患には至っていないようです。
ただ、飼育環境の問題・食餌の問題はないようですから、食欲不振にクル病由来の疼痛が関与しているようにも感じています。
今はクル病治療を進めさせて頂き、経過観察いたします。
早く、食欲が戻って欲しいです。