グリーンイグアナは成体になりますと全長180㎝を超える大型種のトカゲです。

非常に成長速度が速いため、それに対応した十分な広さの飼育設備がないと飼育は厳しいです。

低温と乾燥に弱いため、暖房や加湿器の準備が必要となります。

加えて、紫外線照射の要求量が高いため、高出力の紫外線ランプを設置しないと骨代謝障害を引き起こします。

尻尾は破壊力が強く、歯や爪で怪我をすることもあり、慎重な保定が要求されます。

今回はこのグリーンイグアナの異物誤飲例をご紹介します。

グリーンイグアナのグリ君は、ここ暫く水溶性下痢と食欲不振が続き、ショック状態(虚脱状態)に陥り来院されました。

グリ君は4歳の雄で全長1m近くある立派な体格をしています。

自力で動くこともままならないほどの重症です。

全身状態をチェックしたところ、下痢が続いたことによる高度の脱水が認められました。

また変温動物でありますが、体温もかなり低くなっておりインキュベーターに入れ体を温めることにしました。

加えて、脱水の水分補正のため皮下に補液を実施しました。

少し落ち付いたところで、レントゲン撮影を行いました。

黄色丸で囲んだ部位(消化管内)にたくさんの異物が確認できます。

この異物を拡大したのが下写真です。

恐らくは小石や砂利のたぐいと推察されます。

大きなものでは直径2cmほどあります。

飼い主様に確認したところ、この小石を飲み込むような環境には居ないとのこと。

グリ君がいかにしてこの異物を摂取したのかは不明です。

下痢、食欲不振の原因はこの異物であると考えられます。

グリ君は既に虚脱状態ですし、まずはこの状態を改善することが先決です。

体調さえ戻れば、開腹して異物を摘出することも可能です。

その後、グリ君の呼吸が非常に浅くなり、鼻から出血が認められました。

抗生剤、昇圧剤などを投薬する中で経過を見ておりましたが、治療の甲斐なくグリ君は亡くなられました。

非常に残念な結果です。

ペットとして飼育されてはいますが、イグアナは野生動物であり、犬猫のように病状を表に出すことはありません。

きっと水面下で疾病は進行していたと思われます。

誤飲した小石が消化管の粘膜を傷つけ、二次的な細菌感染を引き起こし、下痢から食欲廃絶でショック状態に至ったのでしょう。

健常時と比較して、食欲・運動性・皮膚の光沢・便の状態等など少しでもおかしいと感じられたら、早めの受診をされることをお勧めします。

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