こんにちは、院長の伊藤です。

脱皮は爬虫類にとって非常に重要なシステムです。

表皮が更新される時に、陳旧化した表皮がまるごと脱落して行きます。

ヘビの場合は脱皮する時は、衣服を脱ぐように全身の表皮を一気に脱ぎ去ります。

トカゲの場合は、体節ごとにバラバラに剥離します。

ところが、この脱皮がスムーズにいかない場合(脱皮不全)もあります。

この脱皮不全ですが、状況によっては残った皮が組織を締めつけて血行障害を起こし、虚血性壊死を招きます。

その結果、瞼や指先や尻尾が脱落してしまう事もあります。

つまりは、爬虫類にとって脱皮不全は命に関わる一大事であることを認識下さい。

ヒョウモントカゲモドキのユキちゃん(2歳、雌)は右眼の瞼が脱皮不全で開かなくなり来院されました。

下写真黄色丸の部分が上瞼が脱皮不全を起こして、皮が引っ付いたままになっています。

ここでピンセットなどで無理やり剥がそうとすると、組織を傷める場合が多いです。

特に瞼の場合は、次の脱皮まで瞼が開かなくなることもあるようです。

温浴をして時間をかけて、皮をふやかしてから剥がす方法が本人にはやさしいと思います。

しかし、今回は診察中での処置を希望されてますので、早急に剥離させる方法が要求されます。

そこで流動パラフィンを使用することにしました。

流動パラフィンを脱皮不全の箇所に滴下して、浸透させてからゆっくりと剥がしていきます。

微妙な力加減でじわじわと剥離していきます。

無事患部の脱皮不全をクリアしました。

皮を綺麗に剥離した後は、瞼も少し開けることが出来るようになってきました。

瞼の突っ張りが無くなって、しきりに舌で右眼周辺を舐めまわしています。

脱皮不全の予防のためにも、水槽にキッチンペーパーを敷いて水を十分に含ませたウェットシェルターを準備できるのが理想です。

あるいは、先ほど申し上げたように、温浴をして脱皮不全の部位をふやかしてから皮を剥がす方法も推奨されます。

いずれにしても、爬虫類にとって脱皮不全は侮れませんのでご注意を!!

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