テグートカゲの直腸脱
こんにちは 院長の伊藤です。
皆さん、トカゲの仲間であるテグーについてご存知でしょうか?
正確にはテグートカゲ科Tupinambis属の総称です。
南米に棲息し、一般には草食ですが、生卵などの動物性蛋白質も好むとされてます。
体長は1mぐらいになり、体重も2㎏台まで成長します。
恐竜の面影を残しており、個人的に好きなトカゲです。
アルゼンチン・ブラック&ホワイトというカラーのテグートカゲのポポちゃん(10か月齢、体重1.9㎏、性別不明)は直腸が飛び出て戻らないとのことで来院されました。
トカゲの仲間はお腹を仰向けにすると怒り出す個体が多く、尻尾による攻撃には注意が必要となります。
したがって、直腸脱の場合は神輿を担ぐようにして個体を伏せの状態で上に持ち上げ患部を確認します。
下写真黄色丸の部位が脱出した直腸です。
体格も大きな個体なので、直腸脱になりますと胴体の体重直接、直腸に荷重したり床材との干渉があったりで直腸は傷だらけになっています。
早速、直腸を消毒して傷の確認をします。
幸い直腸の縫合を必要とするほどの傷は見当たりません。
脱出した直腸を総排泄腔の中に優しく戻していくこととしました。
直腸の表面には、滑りをよくするためにオイルを塗ります。
直腸を紙ガーゼで包みこんで、優しく押し戻していきます。
綺麗に戻りました。
ただこのままでは、腹圧をかけていきんだりすれば再脱出の可能性がありますので、総排泄腔の両端を縫合します。
下写真の黄色丸が総排泄腔の両端を縫合した部位です。
この縫合した状態で排便・排尿が可能であれば、1週間ほど経過観察して、縫合糸を抜糸して治療は終了です。
しばらく保定されたのでポポちゃんは疲れたようですね。
さて、1週間後のポポちゃんです。
患部からの直腸脱出もなく、排便・排尿も問題なく出来ているとのことでした。
早速、抜糸に移ります。
治療はこれで終了となります。
一般に直腸脱の原因は腹圧をかけていきむ所作を繰り返して起こることが多いです。
例えば下痢をするとか、産卵をするといった場合、あるいは怒りっぽい性格で周囲を威嚇する習性があるなどの場合です。
今回のポポちゃんの場合、下痢はしていなかったとのことです。
原因は不明ですが、今後の経過観察は必要です。
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