ギリシャリクガメの嘴・爪切り
リクガメを飼育していく中で、案外飼主様が苦労されるのが嘴・爪切りです。
自然の生態系で生活している場合であれば、硬い大地を歩き回ったり、穴を掘ったりとリクガメは活動的ですが、飼育下ではそうもいきません。
爪が伸びれば歩きにくくなるでしょうし、嘴が伸びれば食餌もしっかり取ることが出来なくなります。
今回、ご紹介するのはギリシャリクガメのポイ君です。
年齢不詳(おそらく5歳以上?)のポイ君ですが、歩行が辛そうで採食も苦労しているとのことで来院されました。
嘴がいびつに長く伸びているのがお分かり頂けると思います。
爪も結構、長いです。
一般には、このような場合、犬猫用の爪切りや齧歯類の切歯切断用のニッパーを使用しますが、ポイ君の嘴と爪は非常に硬く、これらの治療用器具が破損してしまうくらいのタフさでした。
こんな時に活躍してくれるのが、いわゆる大工道具です。
ラジオペンチと金ヤスリで対処いたしました。
基本的にカメからすれば、嘴を切られることは恐怖以外の何物でもありませんので、頸を引っ込めて逃げようとします。
それでも何とか嘴をカットして、金ヤスリで研磨しました。
如何でしょうか?
カット前に比べて嘴のフォルムがかなりシャープになりました。
爪切りもこれだけ伸びてきますと、多少の出血を覚悟しないと理想的な長さに調整できません。
状況に応じて犬猫同様、止血用のパウダーを使用します。
リクガメを飼育する上ではこのようなメンテナンスが必要となります。
長らく放置されますと、後のケアが大変となりますのでご注意ください。