臨床獣医師が日常的に処置する行為に肛門嚢しぼりがあります。

これは、犬を飼われている方ならご存知の肛門嚢(臭腺)を指で圧迫して、肛門嚢内に貯留した分泌液を出す行為です。

この分泌液は独特の匂いがありますが、好きな方はまずいないでしょう。

スカンクはこの臭腺を利用して、外敵に向けて噴霧して逃走するそうです。

いろんな利用法があるようですね。

この臭腺ですが、哺乳類だけのものではなく爬虫類にも存在します。

本日は、ヘビの臭腺についてご紹介させて頂きます。

コーンスネークの はるまき君(年齢・性別不明、体重450g) は総排泄口の周辺が腫れていて皮膚が赤くなってるような気がするとのことで来院されました。

爬虫類は鳥類と同様、尿と便と卵を一つの穴から排泄します。

この穴を称して総排泄口といいます。

下写真の黄色丸が総排泄口です。

若干、赤くなっているようです。

患部を触診しただけでは、よくわかりません。

確かに若干の総排泄口周囲が腫れているようです。

実際、ヘビのような特徴の乏しい外貌の動物の場合、得られる情報量が少ないため診断が難しいことが多いです。

早速、患部の詳細を検査するためレントゲン撮影を実施しました。

レントゲン上では、とくに骨格系で異常な所見は認められませんでした。

レントゲン撮影のために、はるまき君を保定していたところ、総排泄口から何やら分泌液が出て来ました(黄色丸)。

総排泄口周辺の腫れはおそらく臭腺に分泌液が貯留した結果だと思います。

この分泌液の匂いが特徴的で、何かが焼けたのではないのかという非常に焦げ臭い匂いです

ヘビの種類によってこの分泌液の匂いは種々あるようです。

自ら興奮することで、臭腺に溜めこんでいた分泌液を放出して、相手を威嚇するようです。

この分泌液の放出で他の個体に危険を知らせているという説もあるようです。

ヒトにはこの臭腺は存在しないけれど、犬猫はじめとしてエキゾチックアニマルの多くが臭腺を持っています。

生存競争の激しい自然界では、自己主張も含めてこの臭腺は必要なんでしょうね。

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