ミドリガメの咬傷
ミシシッピ・アカミミガメ、別名ミドリガメの咬傷についてコメントします。
ミドリガメの元気君(性別不明、年齢不明)は、水槽から脱走して一晩、行方不明となりました。
翌日、庭で発見された時には右後肢がだらんとしていて、力が入らない状態でした。
患部を診ますと大きく穴が開いています。
下写真の黄色矢印がお腹側です。
この皮膚欠損部から内面を診ますとまず大腿部の筋肉が寸断されています。
腹膜が破れて、内臓が垣間見えています。
幸い内臓の損傷はないと思われます。
おそらく猫や齧歯類に襲われ、咬まれたものと推察されます。
腹腔内の出血は見た限りはなく、筋肉側の出血を若干認めるのみです。
ただ元気君自身は、ショック状態にあり眼は虚ろでぐったりしています。
大腿部筋肉損傷時に出血量が多かったのではないでしょうか。
まずは患部を洗浄消毒します。
皮膚欠損部を縫合します。
患部を細かく縫合して終了です。
問題は水棲カメのため、患部はどうしても雑菌に侵されてしまいます。
あとは、抗生剤を投薬して回復を待つのみです。
カメは今回のような咬傷や高所からの落下による外傷が多いです。
自分の経験では、ある程度の年齢に達すると比較的出血には強い感がありますが、幼体には厳しいです。
残念ながら、元気君は翌日お亡くなりになられたとの電話がありました。
力及ばず、残念です。