ビルマオオアタマガメの頭部鱗・研磨処置
院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのはビルマオオアタマガメというオオアタマガメ属のカメです。
ビルマオオアタマガメはカンボジア・タイ・ベトナム・ミャンマー・ラオスに棲息します。
特徴は背中の甲羅が扁平で幅広い点と大きな頭部が鱗で覆われている点にあります。
嘴は鈎状にとがっており、カミツキガメに近い感じです。
一般にはカメは自身の頭を胴体に引っ込めて身を守るイメージが強いです。
しかし、このオオアタマガメは甲羅が扁平で幅が狭く大きな頭部を胴体に格納することはできません。
その代り、頭部に立派な鱗が存在して頭部を保護しています。
この鱗が問題で、場合によっては大きく伸びて眼球を覆う位置まで伸展するすると視界が邪魔されて捕食もままならなくなります。
今回は、そんな状況に陥ったオオアタマガメのお話です。
ビルマオオアタマガメ君(雄、3歳)は頭部の鱗が伸展して眼にあたるとのことで来院されました。
下写真黄色丸にありますように頭部鱗が眼の所まで伸びてきているのがお分かり頂けると思います。
ヘルメットのように感じるのは私だけでしょうか?
鱗と一般には呼ばれていますが、むしろ背中の甲羅が頭部に延長して来ているかのように感じます。
そこで伸展した鱗の処置になりますが、歯科処置する時に使用するマイクロエンジンのラウンドバーで研磨することとしました。
開口して威嚇するとカミツキガメのように凶暴なイメージもあります。
しかし、非常におとなしい個体なので研磨処置は順調に行うことが出来ました。
結果として、下写真の様に眼球の動きを邪魔しないように研磨することが出来ました。
正面からご覧いただくと頭部が大きいのが分かります。
以前はこのオオアタマガメはカミツキガメの近縁と分類されてました。
最近では、ゲノムDNAやミトコンドリアDNAの塩基配列の統計学的解析ではリクガメ科に含まれるとされているそうです。
水棲カメなのに意外ですね。
大分県安心院町にある3,000,000年前(鮮新世)の地層からこのオオアタマガメの化石が発見されており、しかもオオアタマガメの化石は世界的にも日本でしか発見されていないそうです。
そんな話を聞くと壮大な歴史の流れの中で、たくましく生き抜いてきた動物種なんだと改めて感銘を受けます。
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