ウーパールーパーの直腸脱
こんにちは 院長の伊藤です。
ウーパールーパーで、お尻から何か袋のようなものが飛び出しているという質問を受けることがあります。
これは、直腸脱といわれる症状でそのままにしておくと死に至る場合もあります。
鳥類や爬虫類、両生類は総排泄腔から糞便、尿、卵等、ひとつの穴から排出しますのでどうしても腹圧がかかる傾向にあります。
加えて、便秘や下痢など腸内環境が悪化すると腹圧をかけた時に直腸脱に至る場合も多いです。
本日、ご紹介するのはそんなウーパールーパーの直腸脱です。
ウーパールーパーのおコメちゃん(雌、6歳7か月)はお尻からの袋(風船状のようなもの)が突出して、戻らなくなり来院されました。
水中のおコメちゃんを見ますと、黄色丸の箇所が直腸が出ているところです。
患部(黄色丸)が総排泄行から大きく脱出していることがお分かり頂けると思います。
この脱出した直腸が破れると危険なので、優しく総排泄腔へと戻せるかトライします。
脱出している直腸の長さが大きいので、このまま収めることは困難です。
脱出している直腸内の内溶液(ほとんど水)を注射器で吸引して少しでも直腸を縮小させることにします。
直腸がある程度小さくなったところで、帰納させるべく押し戻していきます。
綿棒を使用して、優しく押し戻していきます。
脱出した直腸は、注射針で穿刺したり、綿棒での干渉もあり充血していますが、これは数日内に治まります。
下写真は脱出直腸が完全に帰納したところです。
ただこのまま綿棒を取り除きますと、腹圧で再脱出してしまうため総排泄腔の両端を5-0の縫合糸で縫合します。
ここで綿棒を外します。
帰納した直腸はしばらく様子をみましたが再脱出することはありません。
1週間ほどこの状態で経過観察し、脱出がなければ縫合糸を抜糸して治療は終了です。
ウーパールーパーはもともと代謝が低く、便秘になりがちと言われます。
餌に関しては、そんな便秘傾向がある場合、生餌に変えると良い場合も多いです。
また腸内環境が悪化する場合は、水質の劣化が原因にあることも多く、換水頻度を初めとして飼育環境の見直しが必要です。
おコメちゃんには、薬浴を最後にお勧めさせて頂きました。
おコメちゃん、お疲れ様でした!
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