ウーパールーパーの浮遊病
暑い最中、水槽の底をゆったりと佇むウーパールーパーは見ていて飽きません。
個人的に夏の清涼剤です。
今回、ご紹介しますのはウーパールーパーの浮遊病です。
この疾患は幼体で多く発生します。
ウーパールーパーは鰓呼吸と肺呼吸を終生にわたって、両方行っています。
幼体期は体も小さく、軽いため比較的簡単に水に浮いてしまいます。
原因は多くが、餌の食べ過ぎで消化過程で生じたガスで浮遊してしまうケース。
あるいはウーパールーパーは餌を丸飲み込みしますので、一緒に消化管にガスが混入して浮遊してしまうケースが多いように思います。
写真のウーパールーパーの元気君は生後まだ数週間の幼体ですが、数日前から水に浮くとのことで来院されました。
上の写真の黄色い丸は消化管に溜まったガスです。
幼体は皮膚も薄く、外から見て消化管の状態が分かりやすいです。
小さな水槽で飼育すると水中の溶存酸素が少ないため、鰓呼吸で酸素の吸収が不十分で、肺呼吸で水面からの呼吸を頻繁に行うようになります。
今回の元気くんは肺呼吸で頑張りすぎて口から飲み込んだガスが消化管に貯留したものと思われます。
多くの浮遊病は、特に投薬して治療する必要もなく自然に回復して水底を徘徊できるようになります。
しかし、何日も浮遊するケースもあり、この場合餌が自身が浮かんで採食できませんので、食餌の介助が必要となります。
消化管に貯留したガスを針で穿刺して抜くのは、幼体では危険なのでやめた方が良いです。
元気くんの背中が浸漬する程度の水を水槽に入れて、体が浮遊しない状態にした上で給餌を継続して頂くようお願いしました。
元気君、早く回復して大きなウーパーになって下さいね!