ウーパールーパーの浮遊病(その2)
以前、ウーパールーパーの浮遊病についてコメントさせて頂きました。
今回ご紹介させて頂きますのは、重度の浮遊病のウーパー君です。
すでに来院された時点で、このように水面から大きく身体が浮かび上がっていました。
3日前からこの状態が改善されないとのことですが、かなり厳しい状況です。
ウーパー君はすでに虫の息です。
ゆっくり検査している場合ではなく、消化管に貯留したガスが原因で水中に潜ることが出来ず、浮上しています。
食餌も満足に摂ることが出来ません。
齧歯類でいうところの鼓張症にあたると思って下さい。
緊急処置として、消化管内のガス抜きをしました。
注射器を用いてガスを吸引します。
ウーパー君はこの時点でショック状態にありました。
体色は白く、血行障害が進行しているのが明らかです。
実質臓器に針が当たらないよう、細心の注意でガスを吸引していきます。
お腹をぺったんこにするまで、吸引したガスが約15mlほどに達しました。
前の写真で鼓張していた腹部が、ずいぶん小さくなったのがお分かりでしょうか(黄色矢印)?
食餌が満足に摂れていなかったため、実際はお腹の中は空っぽの空腹状態です。
この状態で少しウーパー君に動きが出て来ました。
鰓の色が既に黒ずんでいますので心配です。
血流を改善するために、水温を一旦28~30度ほどにしてウーパー君を入れたところ、尻尾を振って泳ぎだしました。
しかしながら、浮遊が始まってから日にちが経過していますので、その間の循環血流障害とそれに伴う多臓器不全が問題となります。
良くなってくれれば容易のですが、要経過観察のウーパー君でした。