ウーパールーパーの浮遊病(その3)
ウーパールーパーの浮遊病のご紹介です。
今回は第3弾目です。
本日のウーパー君は2匹います。
同居飼育されている個体で、1匹は浮遊病が重度であり、もう1匹は比較的軽度です。
体格の大きなウーパー君は小さなウーパー君に咬みつかれ、3本の肢を失っていました。
実際、ウーパーの咬みつく力は強いですから幼体の頃なら四肢を失う事もあるでしょうね。
残念ながら、名前が付けられていない個体達なので今後、 大くん と 小くん と呼称させて頂きます。
大くんは2週間前から、お腹を上にして水面に浮かび始めたそうです。
日を追うごとに浮遊の程度は増し、食餌も満足に摂れなくなり来院されました。
来院時には、下写真の黄色丸のように総排泄腔から腸が脱出し、しかもその腸はガスを含んでおり、あたかも鼻提灯みたいな感じで膨らんでいます。
まずはこの脱出した腸を総排泄腔へ戻します。
何とか戻した後で、腹部のガスの貯留を確認するために検耳鏡のライトを当てます。
上写真の黄色丸で囲んだ部分が透けて見えますが、これが貯留しているガスです。
この部分に27Gの注射針を穿刺してガス抜きを実施します。
少しづつガスを抜去していきます。
ガスが抜けてきたのがお分かり頂けると思います。
お腹周りがスッキリしました。
大くんは、水に戻すとある程度バランスが取れて普通に泳げるようです。
次に小くんは、腹部のガスは少量しか貯留していないため、わずかのガス抜きで終了です。
処置後も、小くんは活動的です。
大くんのガスの貯留が今回のガス抜きで完治してくれればよいのですが、再発する可能性もあります。
同一の飼育環境で2匹が浮遊病になるという点から、水槽内の溶存酸素量が少なくなって、肺呼吸による水面からの呼吸を頻繁に行っていたものと考えられます。
結果として、口から飲み込んだ空気が消化管に貯留したと考えられます。
しばらくは、水位を低くしてエアレーションを施した環境でお世話して頂くよう、飼主様にお願い致しました。