新米獣医師カーリーのつぶやき-part51-~食餌の管理って大事~
こんにちは、獣医師の苅谷です。
10月に入り、野球のシーズンも終わりに近づきつつありますね。
日本のパ・リーグはソフトバンクが優勝しましたが、セ・リーグは残り試合数2,3試合ですがまだ優勝が決まっていないですね。
昨夜の雨がなかったらヤクルトの14年ぶりの優勝が見られたかもしれませんが、今日も試合があるようなので見物ですね。
今回は尿石症とそのご飯についてお話しします。
尿石症の発見はまずおしっこをする時の以下の異常によって発見されることが多いです。
・おしっこの色がおかしい(血が混じっていたり、濃い色)
・おしっこの回数が増える
・おしっこを出そうとしてもでない
・おしっこの際、悲鳴をあげる
などあります。
このような時に尿の検査をして、尿中に結晶を認めると尿石症となります。
尿石症とは泌尿器(おしっこに関係する部分)に固形物(結晶の塊)ができ、おしっこが出にくくなったり、最悪の場合、おしっこが出せなくなり、尿毒症になったり、膀胱が破裂してしまいます。
尿石症については過去の院長のブログでも紹介されています。
尿石症ではストラバイト結晶(リン酸マグネシムアンモニウム)やシュウ酸カルシウム結晶が多いです。
これらの結晶は遺伝による体質的なものもありますが、普段の食餌内容や水の飲み具合、ストラバイト結晶になると細菌性膀胱炎も関与してきます。
治療に関する詳しい内容は院長のブログを参照ください。
尿石症は治療が完了したから終了という病気ではなく、食餌管理を行わないとかなり再発してしまう病気です。
ではどのような食餌管理が必要なのかというと・・・
・結晶の素となるミネラルの制限
・尿のpHのコントロール(食品に含まれる成分)
・三大栄養素のバランス
が挙げられます。
まず一つ目のミネラルの制限ですが、ミネラルも体に必要なものなので最低限必要な量があります。
ただ過剰量になってくるとどんどん体の外に排出、つまりおっしこの中に排出されるようになります。
おしっこの中に過剰量のミネラルがあるとそれだけ結晶ができやすくなる環境となるため、ミネラルの排泄も最低量に抑える必要があります。
二つ目の尿のphのコントロールについてです。
ストラバイト結晶ならばphは上がり、シュウ酸カルシウム結晶ならばphが下がってきます。
治療においてこのphをコントロールして結晶をできにくくする必要があります。
ご存知の方もいるかもしれませんが、尿のphには食品が関係し、酸性食品と呼ばれる肉類・魚介類の動物性たんぱく、一部の野菜やアルカリ性食品の海藻類や野菜全般などがあります。
ストラバイトの尿石症を再発したこの話を聞いてみると実は維持用の食餌に加えて、野菜もある程度食べていたという話を聞くこともあります。
またシュウ酸カルシウムの尿石症ではphを中性域に持っていく必要があり、クエン酸といった成分もとる必要があります。
野菜や果実といったものがこれに合致しますが、このような食品にはこの尿石症の原因となるシュウ酸もたくさん含まれているため、難しいところです。
三つ目の三大栄養素のバランスですが、過剰量をとってしまうと尿中にCaなどのミネラルが排出されることがあるため、このバランスを考えなければなりません。
尿石症が治って、その後は維持食を食べてもらうことが必要ですが、食べないからなどといった理由で元に戻したりすると再発する可能性がかなり高くなります。
自宅にて療法食を作ることができれば良いですが、その場合、相当の勉強や手間がかかってきます。
トータル面で考慮されているものが療法食ですが・・・
また他の病気になって使っている療法食が合わなくなることもあります。
療法食を食べさせたいのだけどどうしようか困っているという場合は一度相談してください。
今回は以上で終わります。
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