新米獣医師のつぶやき-part7-~減感作療法について~
こんにちは、獣医師の苅谷です。
日本列島に猛威をふるっている台風8号は移動速度をあげ、昨晩のうちに東海地方を通過して行きましたね。
朝起きて空を見上げてみたら、台風一過できれいな青空でした。
さて、今回は先日セミナーに参加しましたのでその内容について少しお話します。
今回のお題は減感作療法についてでした。
この治療法はアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎に用いられています。
さて、減感作療法とはどのような治療法なのかといいますと・・・
アレルギーに関係するアレルゲンを体内にまず少量投与します。
そこから徐々に投与するアレルゲンの量を増やしていき、最終的にはその物質に対するアレルギーがなくなるという治療法です。
まず、減感作療法の治療対象であるアレルギー‐過敏症の仕組みを説明します。
アレルギーに関わる物質‐アレルゲンが体内に入ると樹状細胞という白血球が近づき、ヘルパーT細胞に情報を伝達します。
情報を受け取ったヘルパーT細胞は指令を出し、形質細胞にIgEを作らせます。
このIgEが皮膚や粘膜にいる肥満細胞と結合することにより、肥満細胞がヒスタミンを放出し、アレルギーの症状を出します。
さて、減感作療法はどのようにしてこのメカニズムを止めるのでしょうか?
減感作療法においてはアレルゲンに対する抗体はIgEとは別のIgGという抗体を作らせます。
このIgGはヒスタミンを放出しようとしている肥満細胞に働きかけ、その放出を抑えます。
またアレルギーに関与するT細胞を抑える制御性T細胞を誘導することでアレルギーに関与するT細胞の活動を抑えます。
これによりアレルギーを抑えることになります。
これの仕組みを利用しているものが減感作療法になりますね。
今回のセミナーでは犬のアトピー性皮膚炎の新薬が出来たことのお披露目会でした。
今回の新薬はダニのアレルゲンのみですが、今までの減感作療法でのデメリットであった長い治療期間・副反応が起こるといったことを改善したものでした。
イヌのアトピー性皮膚炎のアレルゲンの大部分はダニ由来のものであるので、これまで完治できなかった患者さんには一つの希望になると思います。
ただ実際に臨床の現場でどのくらい使えるのかはまだまだ未知数なのでこれからに期待ですね。
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