ウサギの避妊手術・子宮内膜炎
ウサギは周年繁殖(一年中繁殖しています!)で交尾後排卵動物です。
ウサギは発情期が長いことが特徴で1~2日の発情期休止期と4~17日の雄許容期が繰り返されます。
排卵は交尾後9~12時間に行われます。
妊娠期間は30~32日です。
交尾したらまず、妊娠すると考えて頂きたく思います。
ウサギは自然界では食べられる側にあり、その代わり強力な繁殖力をもって種の保存に努めているわけです。
問題は自然の中で生活するのではなく、ペットとして室内でしかも雌1匹で飼育されることです。
つまり妊娠をしないわけですから、一年中エストロゲン優位の状態が継続して子宮のレセプターにエストロゲンの指令が伝達され続けることになります。
結果として、加齢につれ子宮疾患が多発することとなります。
一般論で申し上げれば、3歳までには避妊手術を受けられることをお勧めします。
これは犬・猫でも同じですが、産科系疾患になるリスクを避妊手術を受けることで回避するということです。
特にウサギの場合は子宮疾患は重篤な症状を伴うことが多いです。
症状としては最初に血尿が出るということから始まることが多いと思います。
これはウサギの膣の容量が以上に大きいため子宮内出血が血尿となって発見されるからです。
次に多いのが乳腺・乳頭の腫脹です。
あとはお腹が腫れて(腹囲膨満)来院というケースです。
いづれにしても子宮内膜炎や子宮蓄膿症あるいは子宮腺癌であることが多く、外科手術で摘出が必要とされます。
ただウサギは麻酔の管理が難しく、加えてこれらの疾病にかかりますと衰弱の進行も早いため手術の難易度は高いです。
下の写真は健常なウサギの避妊手術の風景です。
普通の状態でも子宮はそこそこの大きさをしているのがお分かり頂けると思います。
子宮間膜に走行する血管も多く、犬の避妊手術よりも煩雑です。
脂肪が子宮間膜にたまっている場合は血管の走行も目視確認できないこともあり、チタン製のヘモクリップで止血します。
次は子宮内膜炎の手術写真です。
子宮自体が腫れ、内部に浸出液や血液が貯留しています。
このウサギは血尿が続くとのことで来院されました。
外科的に摘出することで回復しました。