新米獣医師のつぶやき-part23-~腫瘍~
こんにちは、新米獣医の苅谷です。
昨日のお昼過ぎに種子島よりはやぶさ2が打ち上げられましたね。
前回のはやぶさは幾多の困難を乗り越えて、貴重な小惑星からのサンプル、そのデータを持ち帰ってきました。
はやぶさ2も今後の宇宙科学の発展に繋がる結果を持ち帰ってほしいところです。
今回は前回のようなトラブルはなく、無事に帰ってきてほしいですね。
今回は腫瘍についてお話しします。
まずは腫瘍とはどのようなものなのかですが・・・
通常の細胞であれば他の細胞と調節しながら増えていきますが、他の細胞とは関係なく、単独で無限に数が増えていく細胞のことを腫瘍といいます。
さて、この腫瘍というものには~腫や~癌や~肉腫という名称がつきます。
これは以下よって分類されています。
それぞれの腫瘍の中で良性のものを~腫、悪性のものを~癌、~肉腫と呼びます。
まず、上皮系と非上皮系(間葉系)とは何かですが・・・
上皮は外界と接している皮膚や消化管、酵素やホルモンなどを分泌するための腺構造をもつ肝臓や膵臓といったところの細胞たちのことを指します。
例えば、こちらは扁平上皮癌の細胞診の写真ですが、上皮系の細胞は細胞同士が接着し塊で出てくることが多いです。
次に非上皮系(間葉系)は骨、血液、脂肪、筋肉といった体を支えている細胞たちのことを指します。
こちらは線維肉腫の組織の写真です。
細胞は紡錘形の細長い形をしていますね。
ただ、この中で血液に由来する細胞は悪性でも肉腫とは呼ばず、リンパ腫や肥満細胞腫、白血病といったように呼びます。
最後に腫瘍の良性・悪性についてお話しします。
良性腫瘍は・・・
・腫瘍部分と正常部分の境界が明瞭
・腫瘍部分が膨張するように大きくなる
・細胞診をしてみると正常細胞に近い形態をしている
などといったこと挙げられます。
悪性腫瘍は・・・
・腫瘍部分と正常部分の境界が不明瞭
・腫瘍部分が他の組織を浸潤するように増殖する
・肺や肝臓といった血管に富んだ組織に転移し、全身に影響を与える
・細胞診をすると正常細胞にほど遠い未熟な形態をしている
・腫瘍の大きくなる速さが良性に比べて速い
などといったことが挙げられます。
基本腫瘍かどうかは細胞をとってきて診なければわかりませんが、例えば皮膚の出来物であれば、急に大きさが大きくなってきた、触っても境界がわからないといったことがあれば、一度細胞診を受けてみたほうがよいかもしれません。
腫瘍の中でも悪性腫瘍(癌や肉腫)はヒト、動物に関わらず、高齢になると死亡原因のTOP3に入ってきます。
現在の治療法では、完全に外科手術で腫瘍を取り除くこと以外では完全に治しきることのできない病気です。
悪性腫瘍の治療ではその子その子で腫瘍による症状を緩和することでQOL-生活の質を高めていくことが重要です。
今後、医学の発展でQOLを高めつつ、この癌を克服できるようになればなと思います。
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