新米獣医師カーリーのつぶやき-part75~糖尿病~-
こんにちは、獣医師の苅谷です。
日本シリーズは北海道日本ハムの勝利により終わりましたね。
ただ少し残念だったのは今回の日本シリーズは第6戦で終わってしまったので第7戦の登板予定だった黒田投手とおそらく登板すると思われた大谷投手の投げ合いが観られなかったことですね。
特に黒田投手は今年で引退するため、もうこの組み合わせは見れないのでとても残念です。
今回は糖尿病についてお話します。
糖尿病とは文字のごとく、尿中に糖、ブドウ糖が出てきてしまう疾患で、血液中の血糖値がかなり高くなることで起こります。
初期症状としては多飲多尿や食欲があるのにどんどん痩せてくる、疲れやすいといったものが認められます。
本来尿中にブドウ糖が現れることはほとんどなく、糖は体の中でエネルギー源として重要な物質であるため、腎臓で再吸収されます。
尿中に糖が出るということは腎臓の糖を再吸収する機能が機能していないか、糖尿病のように血糖値が高すぎて腎臓が血液から再吸収しきれない量があった場合が考えられます。
ではなぜ血糖値が高くなるかというと・・・
今回は説明を省きますが糖尿病には他の基礎疾患等(副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患や膵炎などの膵疾患、薬剤による影響)もありますが、体の細胞内に糖を取り込むためのホルモンであるインスリンが関わります。
糖尿病には大きく二種類に分けられて、インスリンの絶対量が足りなくなる場合とインスリンの量は足りているけれども効果が薄くなっている場合があります。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンの一つで細胞内に糖を取り込むために不可欠なものです。
このインスリンの効果が認められないと細胞はエネルギーの枯渇状態に陥るため体内にある他のエネルギーである脂肪やたんぱく質を分解してエネルギーに変換します。
通常飢餓状態でも同様のことは起こりうるものですが、糖尿病では使用するエネルギーの大部分である細胞の糖の利用が出来なくなってしまうため、脂肪をエネルギー源として急激に使用しすぎてしまい使用しているときに生じたケトン体が体で解毒する前に許容量を超えてしまいます。
この状態では嘔吐や昏睡状態に陥り、口臭や尿のにおいが甘酸っぱい臭いがし、治療が遅れる多臓器不全によりと死に至ってしまいます。
その他にも糖尿病によって起こりうる合併症もあります。
糖尿病では代謝異常が起こるため、その代謝産物で水晶体が白濁する白内障や皮膚や粘膜といった外部からのバリア機構が脆弱化、免疫力の低下により感染症に罹りやすくなります。
さて、この糖尿病はどのように見つけていくかというとやはり血液検査で血糖値を測定することです。
ただし、一過性のストレス(興奮)にて血糖値が上がることもある(特に猫では)ため、持続的に高血糖と証明するためには特殊な項目の検査をする必要がある場合もあります。
糖尿病とわかったら次に治療ですが・・・
1つ目はもし他の基礎疾患がある場合、その治療を行うことです。
2つ目は食餌を見直すことです。
必要量の栄養を吸収でき、かつ急激な血糖値の上昇を抑えることができる食餌にすることです。
この場合、血糖値をコントロールする上では重要なことですので療法食に切り替える必要があります。
3つ目にインスリンの投与です。
インスリンの不足量は個々によって異なるため、その投薬量は何度か検査入院をしてもらい決定します。
これを怠り、投薬するインスリン量が過剰になると低血糖の状態になり昏睡状態になってしまいます。
4つ目に適度な運動です。
どうしても肥満も糖尿病に影響がありますので適度な運動が必要です。
糖尿病の場合、以上の治療を生涯続けていく必要があります。
インスリンの投薬は毎日自宅にて注射をしてもらわなければならないため、内服で治療できる病気に比べて大変になります。
しかし、治療をしないと様々な合併症に罹ってしまうため、この点はご協力をお願いします。
今回は以上で終わります。
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